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早乙女正美

哲学的ゾンビという言葉があります。我々は小説を読んで、いたくじんわりと感動する存在とされていますが、実はそうではないのではないかという可能性のことをゾンビと呼んでいるわけで、早乙女正美はまさにゾンビのような人物でありました。土台、カラオケの選曲のチョイスが場の空気を読んだものであるという時点で彼はもはや人間ではないのです。人間だったらすべからく、空気なんか知ったことかとばかりに堂々と、うつばりを動かすアニソンを歌うべきものです。……いや、ぬかみそを腐らせる偏見ですが。


閑話休題。さりとてこの早乙女正美なる人物、名前が面白いです。正美なんです。女の子みたいな名前で、初登場の時点では脳内再生で女の子だったわけですが、読み進めていくうちに男だったと気づき、軽く小野妹子詐欺にかかった気分でして……、それはそうとしてこの正美という名前はとてもいいセンスです。何故なら彼は、正しく美しい男であったわけですから。


残念ながら本作においては、早乙女正美は異常な人物であるというばかりが強調されており、マンティコアを美しいと言ったり、最期のシーンで彼女を庇ったりする動機も、実は曖昧なままお茶を濁されています。これはおそらく、作者の構想には盛り込まれていたある部分を、編集者か、あるいは作者自身が思うところあってあえて削ったものと思います。悪人は、たとえ美しいとしてもせめて名前とその最期くらいに美しさをセーブさせておかないと、読者がどっち側に感情移入すべきかで混乱をきたしてしまいかねないから、それを避ける方針だったのでしょう。残念ではありますが、作者の第五ステージ観はブギーポップ的な二面性なのです。出版に際して、第二ステージの世界に歩み寄ったものでしょう。


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