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半分の月がまとめる空
ここまでをまとめると、私は世界が七つあると思っていて、そのうちの第三段階が裕一的なるもの、第四段階が夏目的なるものだとしているということです。橋本紡『半分の月がのぼる空』は、第四ステージの側による第三ステージのピックアップが試みられている、そのためには、「笑顔」が欠かせないのだという作者の思想があるのだということを私が読み解いてきました。もちろん、「『半月』は確かに異色だけれども、ライトノベルをそういう風には読めない」という読者も多いことでしょう。それもそのはず、こういう読み方もまた、第三ステージに特殊な読み方なのであって、橋本紡という人は、皆さんに感動を与えるエンターテイメントという形で、同時に第三ステージにまでも救いの手を差し伸べている、二足のわらじを穿いた職業作家なわけなのです。