悪魔という第七ステージ
そうして最後に、第七ステージを捜してみましょう。神ですね。神といえば、フィーロが冒頭で物乞いの男に何かを言っていました。いるのいないのかわからないものの名を、おいそれと口にするなと……本作においては、「人の心がわかる」という以上に、人の経験を奪う「不死者」たちが、酒の是非をめぐって争ったわけですが、果たしてその、人の分限を越え、人をわかってしまえるようになった不死者のことを、我々は人と呼んでいいのか、疑問に思えてきますね。相手のことがわかるのであれば、それはもう神であって、人ではないような気がします。その意味で、そういう存在のことを本作では悪魔と呼び、その悪魔こそ、第七ステージなのではないかと私は思うのです。
ロニー「夕べの乾杯の時には気付いていたが………結局俺は止めなかった。……俺達なら長続きする…なんとなくそう思っただけなんだがな…………………まあいい」
この意味深すぎる台詞から、幹部の一人であるロニーが悪魔に相違ないことが露骨に示されているわけですが、これは明らかに、フィーロの創作と読めます。話を聞いた直後に、聞き手はロニーによって恐怖をすりこまれ、彼は正確には悪魔ではなくて古代に知恵をつけすぎた錬金術師であることが明かされるわけですが、その部分は、動物カメラマンである聞き手の思い込みだと思ってください。
古代の錬金術師なんかではなく、創作においてはこの思い込みこそ悪魔の正体なのです。悪魔とは、禁酒法によってほとんど伝説の域にまで高められた酒のもたらす酔いと、すべてはそこからくる思い込みが生み出した、勘違いのバカ騒ぎだったのです。




