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日本人・刑事・コンタユオーロという第二ステージ

次に、作中における第二ステージの人達をあげていきましょう。たとえばこのお話の聞き手である動物カメラマンなぞは、その職業によって給与を得ているのでしょうから、これは進歩の段階、すなわち時代の表側としての第二ステージであることがわかります。彼が頼ったポール巡査部長、ないしエドワード刑事は国民に信頼される警察官なのですから、もちろん第二ステージです。彼のカメラにお金を入れて『はなしをさいごまできいてくれたおれい』を律儀にも返すフィーロも、第二ステージと言えそうです。その他一般人と呼ばれる人達は、すべて第二ステージの範疇なのですが……そこにコンタユオーロ等の会計係もくくりたいと思います。話し手であるフィーロも、マネジメントという、原始段階では理解しえない操作を行う人として、その意味で第二ステージであるわけです。あるいはエニスもまた、セラードによって使役される存在であるという点から、この第二ステージと言えるかもしれません。なぜでしょうか。


パラケルススのホムンクルスという言葉が作中に窺えますが、つまりホムンクルスとは、作られたものという意味です。人が人に似せて作るといえば、それはロボットという意味です。英語で「ロボット」という単語の由来は、チェコ語の「ロボータ」、スロバキア語の「ロボトニック」からとったものとされています。それらはいずれも「労働者」という意味なのです。エニスはセラード付きの運転手でもあったわけですから、第二ステージと読んでまず間違いないでしょう。作者も明らかに、意図的にホムンクルスにスーツを着させていることですし。


もう一人、第二ステージを語るうえで欠かせないのはジョギーという男です。この男はガンドールファミリーの金の一端を任されていたのでしたが、一部を着服していたのがバレ、ガンドール三兄弟によって制裁が加えられるのですが……慈悲深い彼らは、彼にチャンスを与えます。つまり全弾こめられたロシアンルーレットのリボルバーを渡すのですが、実はどれも空薬莢で、彼が悔いるのであれば三兄弟は横領を不問に付すつもりでいたのです。しかし、ジョギーはあろうことか兄弟に銃口を向けました。


以下、引用。


俺がやった事は、ただ腕力しか能の無い連中に金を、俺が代わりに使ってやっただけじゃないか。それを考えれば、俺は余程世の中の為につくしている筈だ。こんな……金の儲け方も知らない馬鹿どもに殺されるというのか。納得できない。俺にはまだ生き残る道がある筈だ。


この考え方からもわかるとおり、ジョギーという人物は直前に行われていたポーカーでも、すり替えをしようと企むほどの小汚い男でした。もちろんここで「すり替え」が出てくるのは、既にフィーロがバーンズの後生大事に抱え持っていた箱の中身をすり替えていたことの伏線というか、まあ示唆なわけですが(さらに言うなら、イカサマをしようとして周りの視線に気付き、「時間の流れがおかしく感じる」とあるのも、おそらく「永遠」という本作のテーマの正体ではないかと思われる)、このようにあさましい考えをするジョギーを、私は典型的な第二ステージと位置づけます。こんなことを言ってしまうと、読者は混乱してしまうでしょう。え、ジョギーがあの刑事のエドワードなんかと同じ階層にいるの? そうなのです。私に言わせると、そうなのです。作者はあきらかに、それぞれが異なる人間だとしてキャラクターを描いているわけですが、私はジョギーもエドワードも同じ階層の人物だと思うのです。エドワードはなによりも、国民を庇護する国家を重んじ、法の遵守のために罪人をしょっぴいているのです。ジョギーも、ファミリーのための金の管理に長けた才を買われていたわけですが、彼の場合は、その日常の埋没のうちに、自分以外にはこの才覚を持つ者は無いとうぬぼれてしまい、本末を転倒させてしまうのです。埋没するあまり、そういう可能性を秘めてしまう人たちのことを私は第二ステージとくくっているのです。セラードに忠誠を誓わなければ生きていけなくなるエニスも、アイザックやミリアと接するうちにセラードに対し反感を抱くようになり、その結果、セラードによって殺されかかるのです。


ところでアイザックとミリアを私は第一ステージにくくりましたが、もしかしたら二人は第二ステージと言えるのかもしれません。盗んだものを、そのままちょろまかすのではなく人々に再分配するというその行為は硬直的だった流通を弛緩させているようでもあり、彼らが余ったその取り分だけで生計を立てているのであれば、それはまぎれもない第二ステージ的生き方です。まっとうであるかどうかはともかく、それが第二ステージというものです。


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