第13話 「アルカナサバイバル」
闘神祭初日、63名まで絞られた精鋭達がずらりと顔を揃える。これに、ランキング外の特別ゲストとして俺が加わり、これで64名……。
ハッキリ、この時点で目立ちすぎだ。何しろ他の皆が腕を競い合って順当に得たランキング順位に基づいてトーナメントに参加しているのに、俺だけは違うのだから。
しかも、女王様の呼び出した冒険者という名のもとに紹介されるので尚更タチが悪い。
要するに、やっかみを受けていた。嫌がらせというような無粋なものではなく、いや、それよりもタチが悪いかも知れない。睨まれていた。
そんな中に見知った顔がいるが、そのメンバーについてはこちらの事情を知っていてくれるのでいくらか安心出来る。が、だからといって試合で負けてくれという話にはならない。
なにしろこれは勝負なのだから――。
1回戦、第1試合……つまり大会の始まりである戦いでも、更に注目の集まるこの大会初となる対戦カードはというと、ここで既に俺の名前が表示されている。俺はいきなり初戦から緊張の中で戦わなくてはならなかった。
初戦、リョウタ 対 MUSUKA
「まさか大佐と戦う事になるとは……」
「リョウタ君……」
ペット依頼の時のサブリーダーで正面からの突撃を買って出てくれた頼もしい冒険者。闘神祭では観客も大勢いるので飛び道具は禁止である。流れ矢で怪我をさせては大会どころではないからね。
飛び道具禁止という括りの中では、巨大な両手斧のリーチは圧倒的に有利。リーチの長さはそのまま戦況の有利さに繋がるのだ。
「今日はよろしく頼みますよ、遠慮はいりませんよね?」
「はい、大佐と手合わせ出来るなんて、まあ、こちらも手加減は出来ません」
闘技場は広くて。何より自分から見て広く感じるこの闘技場の石畳は、ランキング戦に参加してなかった俺にとっては慣れないもので一方の大佐にとってはしのぎを削った戦い慣れた場所。……緊張がそのまま周りのものを見る時の目に影響されて、とにかく広く感じる。
「それでは、第1試合!! 始めてください!!」
ジャーン!! ジャーン!! と、銅鑼の音がなり、対戦が開始された。
ゆっくり、中央へ向かう。……斧の間合いプラスひとつか、もしくはふたつくらいのステップで間合いが詰められる距離で、勝負をかける事になる……。
勝負はファーストヒットを争う特殊なルールである。
これはトーナメントの下位の戦いも全て戦うとなると時間があまりにも長期に渡る為だ。
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
斧をあんな遠くから振りかぶり……先に仕掛けて来たのは大佐の方だ。最初の攻撃はとりあえず何が何でも左に避けると、前もって決めていた分だけ楽に身体を動かす事が出来た。
石畳を砕き、石のかけらをまき散らしながら両手斧の大きな1擊をガッツンガツンと連発する……その姿はまるで狂戦士。威圧感は確かに大きいが、こっちだってそれなりに背負ってるものがあるんだよ、怯んでいられない。
横へ横へと相手を中心に回り込むような足取りとなり、距離は縮めさせない、そして1ステップで攻撃を仕掛けられる間合いに入ったその瞬間に、こちらからも同時に近づく!!
間合いに入るのは一瞬だ、そしてこちらの間合いにも即座対応してくる大佐。
だが、一瞬反応が遅れたね?! ブンと、大きく攻撃をスカして、その脇を剣の1擊を加えつつ大佐の後ろまで一瞬で跳躍する!!
勝敗は決まった。
「勝者!! アルシュタート女王代理人、リョウタ!!」
ドッと沸き返る歓声の中、とりあえず最初の難敵に勝てた事で一気に力が抜けてしまう。
「やられましたよ、スキルを変えていたなんてね」
「あ、そう言えば前に会った時は加護入れてませんでしたね」
「……リョウタ君の事はフレンド登録した時の情報のままの頭で戦闘をシュミレーションしてましたが、その前情報が仇となりました、とまあ、言い訳はこの辺にして……強くなりましたね、リョウタ君」
「いえ、運が良かったのかも知れませんね……ありがとうございました!」
ガシリと握手を交わして、フレンドの再登録を行う。




