第12話 その4
街で戦いながら、ノームの族長とは念話の指輪を通して会議をしていた。
この戦いながら会議というのが骨の折れる作業ではあったが、相手を誘導する事は出来るだろうという前提で、 あとはエリシェやマキナさん、長老に作戦を委ねる形となる。
そうして戦いながら、しかしその影では実はその先の戦いの事を計算していたのだ。その作戦が上手く行けばまず勝てるだろうとは思った。
廃屋に着く前には冒険者やサマナーの怪しい動きが見て取れた。その数はザッと10名以上。 この殆どがカード戦士を呼び出すなり、モンスターを呼び出すなり出来るのなら……?
それはもう軍隊みたいなものだ。
これを相手にするのか……。あの作戦は、みんなで考えた作戦だ。最後までやり遂げるしかない。とは言えちょっと予想よりも多いな。
まず相手を自分の土俵にあげる。
……あんな廃屋に用事のある人間なんてのはそうそう居るものではない。ましてあの騒動の直後、色々幻影をしかけて。
廃屋の裏側へ回り込み、迎え撃つ準備をする。
リョウタ
「始めるよ? みんな戦闘態勢を」
ピリっとした緊張感が辺りを支配する。
戦闘開始だ。
男
「おいおい、やっと見つけたよ、このノームの隠れ家を」
男2
「さっきのやつらはどこ行ったんだ? おいチビ! ここで間違いないんだろうなぁ?」
……ノームは口を割らなかったのかシラを切っていたのか。それとも巣のようなノームの集合場所がある事を知らせてなかったのか。
このアジトとも言える廃屋におびき寄せることは成功した。
リョウタ
「おい、ノーム達をいじめるのはやめろ」
男
「おっと、出てきやがったな、馬鹿な奴め、この人数相手に勝てると思ってるのか? よっぽどの自信家様だな?」
シックザール
「へっ……人の事は言えんが、こりゃまた口の悪い連中だな」
頭数は……見る限りでは15。これ以上増える様子もない。
15対2、圧倒的に不利だ。……数字だけ見ればね。
男3
「まあまあ、これでノーム達をあらかた捕まえられるんだ。感謝しなくちゃな」
男
「違いない」
不敵な笑みを浮かべて廃屋に群がってくるダークサマナーと冒険者達。やはりこの最悪な組み合わせか……!
リョウタ
「逃すつもりはないからな、覚悟しとけよ?」
男
「あら、セリフ言われちゃったよ? それこっちのセリフだっての……!」
ザッと一斉に武器を構える双方。
リョウタ
「やるぞ! みんな!」
みんなとは誰の事か? それはノーム達小人。戦力としてはあまりにも小さい。小さいが故に頭数に数えられない。
だが、戦う意欲さえあれば一端の戦士だ。
リョウタ
「聞け! 捕まっているノーム達よ! 俺達には勝てる秘策がある。それには幻術が不可欠だ! こちらが幻術をかけるのに合わせて、お前達自身で判断して幻術を使って撹乱するんだ!」
男
「幻術が効いてようがなんだかろうが、2人なんざあっと言う間だ!」
これが作戦の1、相手のノームの力を抑える。企画立案ノーム長老。
ワラワラと掴みかかってくる冒険者達。胸ぐらを掴ませるところで……俺の姿が幻影だと分かって混乱する。
とにかく、相手を動揺させる方向に持って行ければ充分に勝てる見込みがある。
自分やカード戦士達の姿をそのまま幻影としてノーム達に投写してもらう。その幻影に紛れて攻撃することでこちらの土俵に上がらせる。
そうして幻影に気を取らせておいて……。
作戦の2 周りの木々をゴーレム化する。企画立案エリシェ。
これは意外だった。あの屋敷で起きたことは俺にとっては余り良い思い出ではないのでそこにメスを入れるのは俺は出来なかったのだ。
あれはノームの魔法で動いて居たんじゃないですか?というエリシェの指摘になるほど……と、ただ感心するばかりである。
つまり、この廃屋に着いてきたサマナーや冒険者達は周りがゴーレムだらけだとは思っていない。なによりこれはノームの魔法で動いている。
ノームがそのまま戦力になるという素晴らしい作戦。
ウッドゴーレムの作られた数はおよそ20体。これが幻影の影に紛れて攻撃に参加する。そしてその足止めの能力。
カード戦士達を退け、戦力を削いでいく。
男2
「けっ、これは付き合ってられんな……!」
コーリングの魔法書で街へ避難するつもりだろう。なんて予想通りな奴らなのか。
作戦の3 コーリングの魔法の帰還位置をゴーレムの根元にセットしておく。企画立案マキナさん。
男2
「な、なんだこれは?!!」
リョウタ
「言ったろ、逃がさないってね」
シックザール
「捕縛の方は任せろ、まあ、元々ゴーレムの拘束力がすげぇけどな」




