第12話 その3
一旦、街への襲撃は終わりのようだ。だが、街の惨状を見る限り全く達成感などない。
街の被害は想像よりも大きい。被害というのは建物ばかりではなく人命にまで及ぶ。その数はおよそ30名の死者という……。負傷者の数も今現在の情報で200名を数える。
捜索が進み、状態がハッキリしてくれば……これ以上の数字になることは明らかだ。
係員
「今回の非常召集について、助けてもらって……本当にありがとうね、これは僅かだけど、報酬だよ」
リョウタ
「そんなもの要らない、街が大変なんだからそっちに回してください」
係員
「……本当に、ありがとうね、アンタ、一番頑張ってくれてたようだったのに……」
見れば、ギルド係員は涙を浮かべている。
突然襲撃されて、何が起こってるか分からないまま、ギルドの仕事に従事しているのだろう。俺にしてみれば助けるのなんて当たり前の事なんだが……。これはそうじゃない、感謝の気持ちもあるのかも知れないけど、それ以上にやりきれない気持ちが表に出てきたのだろう。
係員だって、ギルドで働くからこそこんな風に街の為に動けるのだ。町民にしてみれば税金を納めてきたんだから安全を確保して欲しいところ。係員だって町民の一員なんだ。今は他人の事を気にしてられないような時だろうに、それでもギルドの為に、人の為に働く。
働く者の鑑か……。
北シナノの国の政治に期待しつつ、俺は俺に出来る事をやる。
エリシェ
「リョウタさん、今回の相手は……私達だけでどうにか出来るような相手じゃないのかもですよね」
リョウタ
「ここを乗り越えれば、勝機が見える……はずだ」
マキナ
「本当にやれるんでしょうか……」
リョウタ
「作戦はこれで充分だろう……戦力はこれだけでも、少ないなら少ないなりの戦い方があるんだ」
作戦とは? ノームの幻術をかける。かけまくる。というそれだけなのだが……。その内容はお前がモンスターを呼んだのか? と真正面から問いただす。
そうすると?
そうすると何が起こるのか? 一般のサマナーなら何かしらの反応を起こすだろう。だがもしも耐性のあるサマナーだったなら?
幻術の効かないキーアイテムを持っているか、ノームを連れているか。
これで見分けがつくんじゃないのか? 反応するかしないかで。
そうしてひとりにこちらから情報を与えてやる。……おびき寄せが出来る……。
雑な作戦ではあるがこちらから仕掛けられる作戦なんだ。
リョウタ
「これで釣れてくれれば良いんだけどね」
エリシェ
「今度はみんなで考えたんですから、きっと上手く行きますよ」
リョウタ
「こちらから仕掛けられる優位というのが説明出来てたよね?」
エリシェ
「コロンブスの話ですね、確かに何でも聞いただけで知った気になってちゃダメですよね……私も話は聞いたことあったのに……全然知らないのと同じようなものでしたね……」
リョウタ
「まあ、あれは仕方ないでしょう」
エリシェ
「でも、なんだか恥ずかしいです」
リョウタ
「そんな気にする事ないよ、俺だって頭良い訳じゃないんだし」
エリシェ
「そうは思えませんですけど?」
リョウタ
「あれはまあ、そういう言い方しただけで」
マキナ
「あんな風に言える事が凄いんだと思いますよ?!」
エリシェ
「そうなんですよ、リョウタさんはもっと自信持ってて良いと思いますよ」
リョウタ
「ん……2人に言われると弱いね、そう思う事にしとくよ」
さて、そろそろ廃屋に戻ってきた。
リョウタ
「ちゃんとMP回復出来てるよね?」
ここからが反撃になる予定だ。予定通りに行くだろうか……?




