第12話 その2
北シナノの街全体が、モンスターの襲撃を受けている。ここまでの規模だとは思わなかった……。
相手はゴブリンや、オーク、オーガ、トロールといった亜人種が主要な編成のようだ。
冒険者がギルドを襲っている様子は……今のところは見当たらないが、これはどう考えても最悪の状況である。
ひとまず街に散らばったモンスターを退治する事を優先させなければ!!
リョウタ
「シックザール!! どう? なにか分かった?!」
シックザール
「これは、それどころじゃねぇ!」
リョウタ
「……!! だな」
襲われる町民、逃げ惑う人々、戦う兵士、戦う冒険者達……この中から情報を取るなんてそもそも無理だ。
今はひとりでも多く、人命の救助が先決だ。
エリシェ
「ギルド方面への攻撃が一番激しいというだけで、街が……全体が!!」
マキナ
「酷いです……弱いものの方が優先で狙われています……」
リョウタ
「くっ……!! モンスターの流れを読んで、出来るだけ多いところはどこなのか、そこへ俺を誘導して!」
エリシェ
「わかりました!! でも、一番多いところは……ざっと見ても50からの数が群がってますよ?!」
リョウタ
「大丈夫……エリシェのMPが尽きるまでは死なないんだ。本当に危なくなる前には引くから」
エリシェ
「リョウタさん、その坂を上がったところ、そこに多数のゴブリンが居ます!」
ゴブリンなら何匹来ても相手出来る。ゴブリン共を端からなぎ払っていく!! ステップをランダムに混ぜて、速い動きの中に攻撃を混ぜる、この動きはもう体に馴染んで来ていた。
中でも数匹倒すと覚醒ゲージが溜まり、半分でも溜まればそこですぐに発動出来る、覚醒させてアルティシアの力をある程度上乗せという、短時間ながらほぼ無敵のブースト技は、こうした連続した戦闘ではまさに無双。
ロミオ
「兄ちゃん、長から連絡あったよ!」
リョウタ
「なんだって?」
ロミオ
「無事に逃げ帰れたみたいだ!」
リョウタ
「……どうする? 迷ってる時間がないか?」
エリシェ
「リョウタさんどうしたんですか?」
リョウタ
「ノーム族の幻影の効かない状況を解除して貰おう」
ロミオ
「それじゃ隠れられちゃうんじゃない……?」
リョウタ
「逃げて、逃げ延びて来たノームが居るからそのままの場所って訳には行かないよ」
ロミオ
「そうか……長のやったあぶり出しも効果はあったんだ……」
マキナ
「でも、こんな被害が出るなんて……」
リョウタ
「やらなきゃ分からない事だってあるよ、それに俺達がもっと早く解決出来てれば良かったのだろうしね……」
エリシェ
「リョウタさん……」
リョウタ
「とりあえず、廃屋からまた別の場所へ移ってもらってね、たぶんあそこも危なくなる」
幻影の援護がノーム達から届くと、亜人種はほぼ拍子抜けしたかのように抵抗力がない。
街に揃っている冒険者達が一丸となってモンスターを追い払う。だが、この中にモンスターを呼んだ張本人も混ざっているに違いない。
……これだけの騒動を起こして、そして尚平然と街の治安維持に努めたような、そんな顔が出来るなんてのは、もう救いようのない悪人だ。
だが、少し尻尾は掴めた。弱みもあるってのが分かる。弱みってのがあるから、ここまで仕掛けてきたのだろうし。
ならば、何が弱みになったのか?
それはもちろん、ノームの幻影だろう。
詳しくは長老に聞いてみないと分からないが、幻影があるから出来た事、封じたからあぶりだせた事。その辺をじっくり聞き出さなくてはいけない。




