第3話 「物語の始動」
渡部はヨシテフという名前で登録していた。ヨシテフを加えてスキル習得ルートとスキルレベルを上げるのに必要なSPを稼ぐタイムアタックなどで、リョウタはとりあえず間に合せで自キャラの強化を済ませる。
ヨシテフのナビゲーターが語尾にゴワスを付ける髭面のオヤジキャラという事をエリシェに紹介したが、ナビゲーター同士で知り合いだった。
ここからは小説を書いているリョウタと、主人公としてストーリーを進めるリョウタとの二面性がある一人称が始まります。
ストーリーを描くのにリョウタが脳内でどのように脳内変換をしていくのか。
ようやく強くなったリョウタがやっと本気を出すこれからを出来れば本文でお楽しみください。
以上、駆け足で3話までのあらすじでした。
さて、このゲームをリプレイ化するとして……? 一体何から手を付ければ良いのか?
ストーリーモードは少し止まっていた。 というのも、ストーリーモードでエリシェがあんな事に巻き込まれるとは。 そしてその先をまだやってない。
先を知らない事には、まあ、書けるわけもないのだけど、それ以前に。 気になってしょうがない。 リプレイの方はもうちょい先になるのかな。
二次創作、というのは何をどうすればいい? 先を知らないとやっぱりどんな言葉がフラグになってるのかとか分からないし。
ともかく、ゲームを続けてみよう。
「……1話目くらいならなんとかいけそうなんだけどなぁ」
「なんです? 1話?」
「ああ、いや、何でもないよ」
「……そうですか、それにしても、ようやく依頼の方を手伝ってくれるなんて」
「まあ、約束したしね」
「お願いしますね」
「どうすればいいの?」
「……そうですね、では紹介したい人が居るので、街のプール施設に行きましょう」
「プール?! ……って水浴びみたいなあのプールだよね?」
「はい、そうですよ」
「いや、なんだか世界観? が分からなくなってきたよ」
「えっと……そうですか?」
「んー、日本に似てるってのは思ってたけどさ」
「そうですねぇ、では、少しこの国の歴史についてお話しますね」
「え?! 歴史?!」
「どうかしたんですか?」
「……苦手科目だったもので、スミマセン」
「そんなに難しい話をする訳じゃないんですよ、学校もこの前無くなったばかりですし、私も勉強の途中というか……」
「えええ?! 学校なくなったの?!!」
「……はい、そちらの世界では義務教育というものがあるらしいですね……羨ましいです」
「あ、えっと……」
言葉に詰まってしまう。 学校なんて退屈な、なんていうか、仕方なく行く場所だと思ってたから。
「リョウタさん?」
「ああ、ごめん、なんか驚く事ばかりだよ」
「そうなんですか?」
「うん、なんか、話してるだけで世界の違いっていうか……色々考えちゃってね」
「そうですね……良かったらリョウタさんの世界の事も教えてくださいね」
「あ、うん、もちろんだよ!」
「で、えっと……歴史の話でしたね。 脱線しちゃいました」
「……ん、うん、よろしくね、エリシェ先生」
「先生はやめてください……」
「はい」
「……それでですね、もう何百年も昔の話なんですけども、召喚されずにこの世界に訪れた人間の方が居るんですよ」
「俺も召喚じゃなくても来れるの?」
「それは分かりません」
「はは、だよね」
「その最初の人間というのが、どうやら日本という、リョウタさんの世界から来ているみたいなんですね」
「え、それは転生とか、気付いたらゲームの中でした的な?」
「私はよくは分からないのですが、そうして日本で行方不明になった方がこの世界に迷い込んでいるのだって言う説もありまして」
「ははー、行方不明ねぇ」
「そうして最初の人間が増えて、私達はその子孫になるのでしょうね」
「へぇ、じゃあ、エリシェも日本人の血を引いてるって事?」
「そうみたいです、習った授業ではそうでした」
「ふむふむ……、なんだか新事実だな……」
「召喚術は、エルフの方々が体系化したものでして、その召喚とこちらの世界に迷い込むのとはどうも違うみたいですね」
「例えばどう違うの?」
「そうですね、まず、迷い込んだ方の肉体は年もとりますし、魔力も多少与えられるようですね」
「魔力なら俺もあるんじゃない?」
「ええ、でも、リョウタさんは私に召喚されて来てるので、私の魔力で肉体が形成されてるんです」
「ああ、つまり、何度でも蘇るさ! って事?」
「そうなりますね、私のMPが尽きない限りは」
……色々納得できた。
「まあ、要するに、日本からよく人が迷い込むから、日本に近い世界になってる……で、当たってる?」
「そうですね、難しくなかったでしょう?」
「うん、色々年号とか覚えなきゃならないのかと焦ったよ」
「そういうのは、特に興味を持った学者さん達がやってるみたいですねぇ」
「そうだよなぁ、こっちの年号を覚える事に意味あるのって、せいぜい学者くらいか」
「リョウタさんの世界では、覚えないといけない事でしたか?」
「……テストに出る」
「あ、聞いたことありますよ! いいですね! テストかぁ!」
「いや、そんなイイもんでもないヨ?」
エリシェと話してみると、今までろくに考えなかった事がとても大切なような気になった。 エリシェ……ちょっと感謝。