第11話 その4
エリシェ
「もしかしたらって……どういう事です?」
リョウタ
「馬車の操手には……一応車輪の様子を見てもらって」
エリシェ
「わかりました」
リョウタ
「シックザール、ここはもう俺ひとりで大丈夫だから、カードの召喚をやめて単独で森を探ってみてくれないか?」
シックザール
「おいおい、そんな簡単に手がかりが歩いてると思うのか?」
リョウタ
「……思ったんだけどね、まあ、感知と隠密持っててソロで動けるんじゃなきゃこなせないんだ、頼むよ」
シックザール
「もし見つけたらそいつとっ捕まえればいいのか?」
リョウタ
「いや、尾行して繋がりを探る方がいいだろ」
シックザール
「簡単に言ってくれるよな……、まあ、やってやるか……」
マキナ
「私はどうしましょう? あんまり離れすぎるとシックザールへの魔力が途切れちゃうし……」
リョウタ
「なんとかやるしかないね……ギリギリの距離でシックザールについて行ってみて……あと、ロミオ、幻影の魔法でカバーよろしく」
エリシェ
「でも、どうして、今なんですか?」
リョウタ
「今回はちょっと多かったからってだけなんだけどね」
エリシェ
「それだけなんですか?!」
リョウタ
「見えないような、見えてるような相手とはどうやったら戦えるかなって、考えてたんだけど、やっぱり何か尻尾を掴まないとダメだよ」
エリシェ
「こんなところに手がかりになるような人影なんてそうそう居ないと思いますけど……」
リョウタ
「うん、まあ、分かってるとは思うけど、相手は隠密持ってる可能性が高いから、当然目視で発見しないとダメだからね」
シックザール
「ったく……無茶ばっかりだな」
リョウタ
「そうは言うけどね、見えない相手ってのがどうにもね……、まだ頭の中の整理ついてないんだよ」
エリシェ
「馬車はどうします?」
リョウタ
「もうちょっと待って……今回は実は千年樹行きの馬車に4ペアの構成じゃないってのもあってさ、そこに車輪トラブルと来れば……」
マキナ
「私達を餌に釣りをしようって事ですか?!」
リョウタ
「マキナさんも、分かってるなら大声上げないでね」
マキナ
(わかりました!)
エリシェ
「車輪を見てくれって言ってたのは……つまり、遠くから見たら車輪のトラブルを起こしてるように見えると……そういう事ですか?」
リョウタ
「釣りって、あんまりやったこと無くてさ……これで釣れるのかは、まあ、微妙だとは思うんだけどね」
エリシェ
「釣りって……私もないですよ?」
リョウタ
「ゲームでならやった事あるんだけどねー」
エリシェ
「リョウタさんの世界ではそんな事も出来るんですか……」
シックザール
「っくそ! しまった!」
リョウタ
「?! な、どうしたの?!」
シックザール
「召喚してる現場を見つけたんだが、気付かれてコーリングされちまった!」
リョウタ
「ホントに居やがった……」
シックザール
「おい、マキナそっちへ行ったぞ! 逃げろ!」
マキナ
(なんとか隠れてやり過ごします)
リョウタ
「あ、コーリング……って一緒に行動させてなかったし……逃がした……か」
エリシェ
「ゴブリンが接近してきますよ!」
リョウタ
「く、やっぱりゲームでやったくらいで知った気になっちゃダメか」
……逃がした魚は大きい、という諺がズシンと伸し掛る。
シックザール
「どうするんだ?」
リョウタ
「ゴブリンを殲滅させよう……もうちょっと慎重に行動するべきだった……」
戦闘自体には簡単に勝つ事が出来た。
だが、ちっともスッキリしない戦闘となった。




