マキナの悩み その2
あれから、結局実際に行動に移すというのはしてません。 ……っていうかそれは小声で聞くのとは違って勇気がいる。 してないのではなくて、出来ないでいる、と言ったほうが正しい訳です。
あの感じなら、もうちょっとこの気分を味わうのも良いのかななんて、思っていたのが……。
今度はノームの住む屋敷の時の話になりますね……。
最初は確かにシックザールからノーム族の秘密を聞いたんです。
シックザール
(おい、マキナ、ノームって知ってるか? 小人の)
マキナ
(知ってますよ? 小人だとは知りませんでしたが……でもそれがどうしたんですか?)
シックザール
(いや、目の前に居るんだが……? みんなに渡したいものがあるんだと)
マキナ
(じゃあ、伝えますね……)
シックザール
(おう、それで、なんだかイタズラみたいなものがしたいらしくてな)
マキナ
(それで小声で通信してきたんですか……ふーむむ、ドッキリですか……リョウタさんなら、なんかあっさりと見破っちゃいそうな気がするんですけど)
シックザール
(だよなぁ……アイツ、勘もいいしな)
マキナ
(でも、解決劇みたいなのを間近で見れるなんて……なんだか面白そうね!!)
と、こんな軽いノリで試してしまった。
リョウタさんがあんなに怒るなんて……全く思わなかった。 それは、すぐに報告すればいいだけの話だったのに。
リョウタさんは仲間である私達をずっと心配して、最後まで心配させたままだったから……あんな行動を起こしたのよね……。
私があの時見てみたいと思ったリョウタさんの姿は、名探偵さながらに、格好よく解決する様子。
私がそう望んでしまったから。
もう少ししたら私と付き合う事になるだろう……等と思っていたその人の取る行動は……。
全く違う結果になり、そして……あれを止められるのは先輩だけなんだと直感した恋心の最後の刹那。
先輩とリョウタさんは、その2人で任務をこなす事も多く、信頼関係も、私と比べたら……全く比較になりはしないでしょう。
先輩は私達よりもリョウタさんとの信頼関係を重視していて、リョウタさんも、信頼していたから……だからあんなに怒ってしまった……。
あの2人の信頼の間に私が入るのはなんだかおこがましいような……。
シックザールはひとりで俺のせいなんだから許してやれなんて言ったけど、私は自分のせいだなんて言えなかった。
私は最低だ……。
そう思ったら……もう涙が止まらなかった。
もし、あの時先輩がギュッと止めてくれなかったら……。
もっと酷い心の傷を残していたかも知れない。
私は……自分の浅はかさに心底、自分自身を嫌悪した。
でも、もう思い知った。
それからしばらくして、なんだかリョウタさんに話しかけるのが怖くなっていた様なところはありました。
マキナ
「あ、り……リョウタさん? 一体なんでしょう……?」
リョウタ
「なんだろうねー、あれから避けられてるような気がしてさー」
リョウタさんが話しかけてきてくれた……。
「いや、まあその……、あの屋敷の事は本当にごめんなさいでした……」
「あれは新しいトラウマになったかもなー」
「……ご、ごめんなさい……」
「まあ、忘れるって言ったんだし、協力してよ」
「協力……?」
「いつも通り、明るくして欲しい……ムードメーカーみたいなマキナさんが沈んでたんじゃさ……だから普通にしててよ」
「はい……努力します」
恋心はなんだか消えていて、でも、清々しい様な。
……早く先輩とくっついちゃってくださいよ……。
――マキナの悩み 終わり――




