第9話 その7
予想を上回る自分の成長に、自分自身が驚いていた。
……シックザールはほぼ一方的にやられて、もう復活出来ないほどマキナさんのMPも減っていた。
リョウタ
「もう終わりだろ?」
シックザール
「ちっ……」
マキナ
「ああ……」
まあ、手加減したとは言えそれでもこっちもある程度のダメージを受けている。 だが、もうここに居る方が辛い。
リョウタ
「もう行くよ」
ピエトロ
「あ、ゴーレムはどうするの?」
リョウタ
「ひとりでなら切り抜けられる」
エリシェ
「リョウタさん!!」
リョウタ
「なに……?」
がしっと、背中から抱き止められる。
エリシェ
「許して……くださいよ」
リョウタ
「……辛いのはもうお互い様だ」
シックザール
「悪いのは俺だろ……許してやれよ」
リョウタ
「なんだかな……俺が悪いみたいな言い方すんなよな」
マキナ
「私も……すみまぜんでじ……た……」
リョウタ
「泣くくらいなら最初からやるなっての」
エリシェ
「私は……リョウタさんと一緒に旅がしたいです……あの2人も」
リョウタ
「…………」
それから、どうやって、何をどう言われたかは覚えてない。
……ただ、頭の中が真っ白になるような、気が遠くなるような。 周りから言われている事が全部、ただの雑音に変換されていて、何も俺の心を動かす事はない。
何も聞こえない。
何か昔の事を思い出していた。
……遠い昔。
子供の頃の事、俺は周りの音がまるで聞こえないような状態にまでの精神状態が不安定になり、そして俺自身も周りに興味を持たなくなった。
俺は言葉を失っていた事がある。
俺からしてみれば、ただ興味がないから話さないだけなのだが、周りの大人達は違ったのだろう。 友達も先生も家族も、誰とも話してないのは、ただ興味が沸かなかったから。
だが、周りの大人達は深刻そうに悩んでみたりしたのかも知れない。
大人同士で色々、俺について話していたのかも知れない。
だが、俺の心はずっと閉じたまま。
……なんだか、あの時を思い出すなぁ。
…………そうして、昔の事を思い出していたのが一体どれくらいの時間だったのか分からないが。
もう、みんな静かになっていた。
静寂を破るのは俺だ。
リョウタ
「なんてね、ビックリした?」
エリシェ
「……!! リョウ……タさん?」
シックザール
「あん?! お前、コレ芝居だったのかよ!!」
リョウタ
「知らないよ、俺は忘れる事にしたから」
マキナ
「……良かった……グス」
エリシェ
「あの、もう怒ってないんですか?」
リョウタ
「忘れたんだから、もう聞かないで」
エリシェ
「……はい……」
リョウタ
「ピエトロ、街までコーリングの魔法で帰れるように出来るの?」
ピエトロ
「え?! あ、うん、出来るよ」
みんなキツネに化かされたような、間の抜けた対応だ。 でもそれだけ心配したって事なのかな……?
俺がした心配の一部でも味わったのなら、もう、こんな事はしないだろう。




