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第9話 その6

 ここまでされて冷静に思考が冴え渡る人間なんているだろうか? 少なくとも、俺は違った。


 リョウタ

「おい、ピエトロ、何が起きてるのか説明しろ」


 ピエトロ

「説明ったって……僕にも分からないんだ……」


 リョウタ

「まあ、エリシェに言われた手前、子供には手を出さんがな……」


 バキッ! バリーン!!


 建物を壊してみることにした。


 ピエトロ

「うわ! ちょっとやめてくれよ!」


 リョウタ

「知らん!!」


 魔力は届いてないのだろうが、それでも、剣を持ってれば充分だ。 この屋敷を壊しまくってれば……そのうち仕掛けが見えてくるに違いない。


 力の限り、思い切り剣を振り回す。


 壁から、窓から、とにかく、目に映るもの全部だ。


 外にゴーレムが彷徨うろついている。 だけど構わない。 建物を破壊する事に専念する。


 ガシガシと、破壊音で耳がおかしくなっていたのかも知れない。


(リョウタさん、落ち着いてください!!)


 エリシェの声が聞こえた。


(エリシェ?! 無事なの?!)


(その……今そちらに向かいます)


 現れたのは……ピエトロと、妹が2人。


 そして……。


 リョウタ

「ええ?! エリシェ?!」


 小人化したエリシェがピエトロの肩に乗っかっている。 他の2人も同様に、ピエトロに抱えられている。


 ……なんなんだ?


 こいつら……ノーム族なのか?


 ピエトロ

「そのごめん、騙しちゃって……」


 身長を入れ替えるというあの魔法だろうか。 それにしてもおかしな点が多すぎる。 


 リョウタ

「なんの目的でこんな事やってんだ?」


 ピエトロ

「……もう怒ってない?」


 リョウタ

「ハナシに寄るね」


 シックザール

「まあ、その、お前なら頭で解決出来るかと思ってな……」


 マキナ

「えっと……その、ビックリしました?」


 リョウタ

「ビックリどころじゃないよ」


 エリシェ

「リョウタさんなら解けるって言われて……でも、さすがにこんなウソは……私は止めたんですけど……」


 リョウタ

「ふうん?」


 シックザール

「まあいいだろ、みんな無事なんだしよ」


 ピエトロ

「本当は、みんなにノーム族の魔法がかからないアイテムを渡したいだけだったんだけど、イタズラ心が芽生えちゃってさ」


 リョウタ

「イタズラで済むと思ってたのか?」


 エリシェ

「リョウタさん……」


 リョウタ

「最初に話に乗ったのはシックザールか……?」


 シックザール

「お、おう、そうだ」


 リョウタ

「……こんなんで、もう仲間同士信用しろとか言えないよな?」


 マキナ

「そんな! だって、大した事にはならないって……」


 リョウタ

「人の良心を試すような事が、大したこと無いとでも言うのか?」


 エリシェ

「リョウタさん?」


 リョウタ

「もう、無理だ。 仲間を信じられないんじゃ旅も続けられないよ」


 マキナ

「リョウタさん……ごめんなさい……」


 シックザール

「止めるってのは……どうにも荒っぽくなりそうだな」


 リョウタ

「……止めても無駄だよ」


 シックザール

「とにかく身長を戻せ、力ずくで止めてやる」


 リョウタ

「ったく、みんなグルだったって訳か」


 シックザール

「まあ、怒るなよ」


 リョウタ

「無理だね」


 シックザール

「なら、もうコレしかないよな!」


 鉄球を投げつけてくるが、正面からただ攻撃されるだけじゃあ今の俺には当たらない。


 リョウタ

「なんだってんだよ……」


 シックザール

「まさかこんな事になるとはな……まあ、本気のお前とは戦ってみたかった」


 リョウタ

「……本気なんて出さないけど、俺がどれだけ心配したのか、充分味合わせてやるよ」


 シックザール

「…………」


 どれだけ心配させたと思ってるんだ……ホントにさ。 それから、それがどれだけがっかりさせたか分かってるのかな……?


 まあいい、シックザールを倒せばそれで解放される。



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