第9話 その3
目的は雨宿りくらいだったのに、シックザールの行方を捜さなければならなくなった。 情報源はこの目の前の子供くらい。 だけど、この子供ってのがどうにも妖しい……?
シックザールが音信不通になったのがこの部屋というだけに、何かありそうだという事と、最初のごめんくださいってのがこの部屋に届かなかったのか……という疑問と。
犯人はこの中に居る!!
という例のセリフから考えると、どうしてもこのピエトロ君だけなんだよねぇ。
リョウタ
「ねぇ、ピエトロ君?」
ピエトロ
「なに?」
リョウタ
「ここら辺でちょっとおっかない感じの男を見なかった?」
ピエトロ
「さあ……見てないけど……?」
エリシェ
「どうしちゃったんでしょうか……?」
マキナ
「とりあえず服乾かしましょうよ」
リョウタ
「俺もそうするかな」
……4人で火にあたる。
ピエトロ
「裏口出たところにまだ予備の薪があるんだ、取ってくるよ」
リョウタ
「え? ああ、そうか……ピエトロ君のお父さんとか、お母さんとか居ないの?」
ピエトロ
「ここには……4人、僕の兄妹が居るだけだよ?」
リョウタ
「ん? なんだって……でも、それってどうやって生活してるの?」
ピエトロ
「庭にある畑で色々取れるんだ。 だからここで暮らしてるだけなら大丈夫なんだけど……」
エリシェ
「どうしたんですか? リョウタさん」
マキナ
「シックザールの事心配してくれてるんですね!」
リョウタ
「まあ、そうなんだけど……どうにも釈然としないというか……」
ピエトロ
「今日はもう日も落ちちゃうし、どうせなら泊まっていくといいよ」
リョウタ
「シックザールも心配だし……離れるわけには行かないよな」
ピエトロ
「じゃあ薪取ってくるね」
エリシェ
「私は少し休ませて貰おうかしら」
マキナ
「私、薪を取りに行くの手伝いますよ」
リョウタ
「いや、ここは離れたら何が起こるか分からないからさ……」
マキナ
「じゃあ、この子ひとりで行かせるんですか?」
リョウタ
「そうだね……その前にもうちょっとピエトロ君に話を聞きたいんだけどいいかな?」
ピエトロ
「えっ? なに?」
リョウタ
「最初に俺の仲間のシックザールが感知というスキルを使って屋敷の中を調べたんだ……その時には誰も居ない、妖しい気配はないって言ってたと思うんだ」
ピエトロ
「え? そんな魔法みたいなものがあるの?!」
エリシェ
「カード魔法ですよ。 エルフの方々が魔法をカードに閉じ込めるように魔法を体系化したのが始まりですね」
ピエトロ
「へぇ……! 初めて聞いたよ」
リョウタ
「初めてって……そんな事あるのかな」
マキナ
「あるも何も、本人がそう言ってるのならそうなんじゃないですか?」
リョウタ
「カード魔法って……結構前からあったよね?」
エリシェ
「そうですね、最初にこの地に迷い込んだと言われている人間が、エルフの協力を得て、カード魔法というモノを手に入れたと言われています」
リョウタ
「だったら……ここはそれからずっと人間と隔離されているという事になるのか……?」
マキナ
「えっと……? やっぱり危険なんでしょうか……?」
リョウタ
「どうなんだろう……?」
エリシェ
「この子達の事を疑ってるんですか?」
リョウタ
「……うーん……どうなんだろう……なんだかいきなりルールが違う世界に飲み込まれちゃったような気がするよ……」
マキナ
「もしかしたら、ここから出られなくなっちゃってたりして……」
エリシェ
「マキナ、怖いことをサラッと言わないでよ」
ピエトロ
「僕ひとりでも大丈夫だよ」
マキナ
「そうは言っても……やっぱり私付いて行きますね」
リョウタ
「……エリシェは休みたいんだよね? ひとりにするのは危ないかもだから、俺は残る」
エリシェ
「シックザールさんは、どこにいったんでしょうねぇ」
それが謎なんだよなぁ……。




