第9話 その2
リョウタ
「シックザールはどの辺りを調べてたの?」
マキナ
「1階です。 正面の階段を左に抜けた先に扉がありますよね、その先になります」
エリシェ
「3人一緒に探索って事は……」
リョウタ
「両手に花!! ってのは利き腕が塞がるので無理だしな……まあ左腕だけなら空いてますよ?」
マキナ
「もう! どうして……そうなんですか!」
エリシェ
「シックザールさんの事が心配じゃないんですか?!」
リョウタ
「そうでした、ゴメンなさい」
……とか言って、でも結局怖くなってきた2人は左腕にエリシェ、背中からマキナさんにガッチリ掴まれて。
リョウタ
「これじゃ……何かあってもすぐ対処出来ないような」
エリシェ
「しょうがないじゃないですか!!」
マキナ
「そうですよ!!」
リョウタ
「とりあえず、剣を片手に構えてはいるけど……何かあったらすぐ反応出来る体制は作っといてね」
エリシェ
「……こうなるのなら……最初から4人で行動するべきでしたね……」
マキナ
「そう言えば、リョウタさんの世界ではこういう事は日常茶飯事だったんですか?」
リョウタ
「え? なんで?」
マキナ
「だって、なんだか注意したほうがいいとか……言ってたじゃないですか」
リョウタ
「ああ、そうだねぇ……でも、俺の知ってるのって最後にはヒロインと2人で脱出して屋敷が燃え上がるやつか、殺人事件に発展するかってのくらいなのかなぁ」
エリシェ
「充分怖いんですけど……」
マキナ
「ヒロインって……それは物語なんですか?」
リョウタ
「そりゃあまあね」
エリシェ
「そうですよね、いくらなんでもそんな事実際に簡単に起きたりしないですよね」
マキナ
「そうですよ……ね!」
リョウタ
「まあ、ここは俺の知ってる世界じゃないんだけどね」
しばしの沈黙。 ……怖がらせてしまったのだろうか。
リョウタ
「この奥の部屋あたりかな?」
ドアに手をかけてみる。
ガチャリと、ノブはスムーズに回る。 大した仕掛けなんて無さそうだ。 しかし。
マキナ
「え? あれ……この子は?」
エリシェ
「……ここに住んでる方なんですか?」
子供だ。 男の子。 ここは突き当たりになっていて、この部屋に来る間に何か別の道への通路などは無かった。 ここら辺でシックザールが消息を絶ったはずだ。
その場所に何故、子供がいる?
子供
「あれ、お姉ちゃん達は……どうやってここに来たの?」
エリシェ
「えっと……魔法の誤作動で……外は雨だし雨宿りをさせて貰おうかと思ってたんですけど……」
子供
「そっか! それならここに暖炉があるよ!」
確かに暖炉がある。
リョウタ
(マキナさん、ちょっといい?)
マキナ
(なんですか?)
リョウタ
(シックザールってここら辺で通信が無くなったんだよね?)
マキナ
(そうですけど……見当たりませんね)
……そして目の前には男の子。 なんだ、この違和感は。
リョウタ
「あのさ、君は……名前はシックザールだったりしないよね?」
子供
「え?! ボクの名前?!」
リョウタ
「まさか本当にそうなの?!」
ピエトロ
「ううん、ボク、ピエトロって名前だよ」
エリシェ
「そうなのね……ここの暖炉は使わせて貰っていいかしら?」
ピエトロ
「うん! いいよ!」
分からないな……。 これは名探偵のように答えを導き出さないといけないのか……? この屋敷って一体……?




