第8話 その8
ひとり、離れて考え込んでいた。
もしも、これで進めたらどうなるのか? ってのが分かるなんてのは、つまり悩まなくてもいいって事か。
だからあんなに軽い感じなのかね? メロウ族ってのは。
例えばこれはメロウ族相手には効かないって話だったけど、これを人間同士で使ったらメロウ族の事だって少なからず分かるんじゃないのか?
もし、そうだったとしたらメロウ族がハーフだらけになったのはこの貝殻のせいだったりしてね。
そんな事よりもエリシェの事だろう。 今考えるのは。
召喚されたばっかりの時に絶対ムリとか言われてたから、まあ、聞くまでも無いんだけどもね……。
見るまでもない未来なんだろう。
正確には、見なくても予想出来てしまう未来か。
よく考えてみると、冒険者とサマナーってのは関係としてはイマイチなのかもねぇ。
結局は別の世界で生きている者同士なんだから。
でも、もしもこのまま帰れなくて、この世界に留まるような事になったら……そうしたら、同等の付き合いが出来るのかも?
なんてね、真面目に考えすぎだ。 1回だけ、ちょっと先の未来を見るだけなんだ。
深く考えてないで、サッサと済ませちゃえばいいじゃないか。
……でも、貝殻を使ったところで多分何も変わらないんだろうなってのは分かる。
……そう、分かる。
結局、自分が今の状況を一番望んでいるんじゃないのか。
よく言うじゃないか、心の中を映したことが現実になってるなんてのは。 だから、自分を低く評価しないようにしようだとか、目標をもって生活しようだとか。
……なんだか、もう決まらない。
なら、貝殻も要らない……。
聞きたいことはあるけれど、それは聞いてしまったら、今のままじゃいられないし、未来を知って生きることは、それは生きているって言えるのだろうか?
マキナ
「先輩の事聞いてみてみましたかぁー?!」
突然の声に驚く。 随分悩んでいたせいか、近づいてきている事に気がつかなかった。
リョウタ
「え? いや、まだだけど……ってか聞くのをやめようかって思ってたりしてね」
マキナ
「え! なんでですか!」
リョウタ
「その、なんとなくだよ……てか、マキナさんは使ったの? 貝殻を」
マキナ
「それが、使ったんですけど……続きどうなるのってところで先が見えなくなっちゃって……」
リョウタ
「……な、なんだ、そういうオチか……」
マキナ
「全く、ヒドイもんですよ? 物語の途中で続きが見れなくなるなんて、そんな生易しいもんじゃなくて! もう、見なきゃ良かったって思うくらいに後悔しちゃいますよぉ」
リョウタ
「はは、なんだかな……何聞いたの?」
マキナ
「それは秘密に決まってますよ……」
リョウタ
「そっかぁ……俺はもうこれ使うのはやめるかな。 想像つくし」
マキナ
「先輩の事聞くんでしょう?」
リョウタ
「こっちも内緒だよ」
マキナ
「そーですかー」
リョウタ
「まあ、みんなのとこに戻ろうか」
マキナ
「あ、そうですね」
ロコに貝殻を返す。 俺にはこれは必要ないよ。
ロコ
「いいのかい? なんだか世話になりっぱなしで悪かったなって思ってるんだけど……近くに寄ったらまた会いに来てくれるだろ?」
リョウタ
「ああ、また顔見に来るよ」
エリシェ
「少し高額の依頼を出してる街がありますので、そちらに向かいます」
リョウタ
「それじゃ、またね!」
ステラ
「良い旅路を」
メロウ族はこれで本当に救われてるのだろうか? この時点では知る由もない。 ただ、大きな流れに飲み込まれつつあるという事は確かに感じられる。
4属性の活性化。
土の人間と水のメロウ、火のドワーフと風のエルフ……4種族の活性化が見て取れて来ている。
メロウ族の件は今回のところはここまでだけど。
――第8話 終わり――




