第2話 「創作意欲」
千年樹に祈りを捧げて冒険者としての最初の儀式が終わった。これがあればサマナーであるエリシェのMPが尽きない限りは復活できるという不死の冒険者になれたのだ。
エリシェへの忠誠を誓うリョウタだった。
次ページでも解説があります。 ここも飛ばしても良いような内容になってます。
「……大丈夫、俺は無条件でエリシェの味方だよ」
……その言葉がどう伝わったのかは分からないが、エリシェの信頼を得るには、まだ不十分だったのかも知れない。
「じ、じゃあ、その、街の依頼の件なんですけど」
「あ、でも、俺はまだ弱っちいからなー……、 とりあえずカードの強化をしたいんだけど、先に強化を優先してもいい?」
「……強化……ですか?」
「うん、スキルを適当に何個かとスキルレベルの強化がしたいかな」
「……わかりました」
このあたりで、エリシェががっかりしているのが見て取れた。 選択肢間違ったっぽい?
「あ、強化したら、必ず、絶対に、なんでもしますので」
「え? ああ! 気にしないでください」
「んー、まあいっか……、それで、強化に必要なことって何すればいいんだろう?」
「えっと、そうですね、スコアアタックというものがありまして、これはギルドからの依頼になりますね」
「ふむふむ? スコアアタック……」
「はい、1万点でSP1になるって事は前にも言いましたよね」
「ああ、覚えてるよ」
「そのスコアが稼ぎやすい場所で、しかもドローもありますので、ここで強化すれば底力が上がったり、新しいカードに期待出来ますよ」
「なるほど……それいいね」
「あとはスキルですけど、これは地下都市の廃墟探索というのが、やはりギルドから無期限で依頼がありますけど、ここではランダムにスキルを獲得出来るようです」
「ランダム……ってのはちょっと自信ないな……運て事だよね」
「そうなりますね」
「運の無さには、自信あるんだよね!」
そこに自信を持ってしまうのはどうかと? 誰でも思うところだとは思うが、だがしかし、今まで生きてきて運が良かったなんて思った事はほとんどない。 ……これが俺の人生観なんだから仕方ないよ。
「でも、行かなければ取得はありません」
「ふーむ、また1つ、運のなさが実証されるのか……」
「……とりあえず、どちらから行きますか?」
「スコアアタックだな、確実にスキルをレベルアップさせておきたい」
1コインを投入する。 今選べるルートは
Aルート カードの復活&ドロー
Bルート スコアアタック&ドロー
Cルート 訓練場……?
Dルート スキルをランダムで獲得&ドロー
Eルート ストーリーモード&ドロー
この5つのようだ。 ストーリーモードは多分エリシェの言ってた街の依頼なんだろう。 訓練場……てのはなんだろう?
カーソルを合わせて説明書きを読んでみる。
「あ、訓練場ですか?」
「ああ、うん、ちょっと気になってね」
「そこでもスキルの獲得は出来るんですよ、狙ったものを」
「なんだ、いいのあるじゃん!」
「でも、そこで取れるスキルは初歩的なものばかりですし、スコアも稼げませんし、ドローもありません」
「ふーむなるほどねぇ……」
これは悩みどころだが、最初に言った通り、スコアアタックを選択する。
「スコアアタックですね、では、ギルドで手続きをしてきます」
スコアアタック、どんな内容なんだろうか? イメージではザコをバシバシ倒すようなボーナスステージ的なものかな? などと想像してみる。
難易度高くて、余計に稼げないとか……? 無いよな?
「と、その前に編成か……」
結局、悩んだ末にエリシェの言った通りの編成で、アルティシアを1人と、ローガンとあきひさをセットにした2パターンだ。
「手続き終わりました、いつでも行けますよー!」
「おっし、まずは小手調べ、スコアアタックとはどんなものなのか」
「では、出発しますよ?」
「おうさ!」
タイムアタック ステージ1
川を挟んで向こう側に、ブタ人間という風貌のややメタボ気味なモンスターがごちゃごちゃしている。 あれは……
「オークの小規模な集まりですね、あれが作物を荒らすそうでして、ギルドから討伐の任務となります」
「よっし、先手必勝! 最初はローガン、あきひさを召喚だ!」
遠距離攻撃で川に入らずに攻撃をしかける。 オークは知能が低い……というか、無いんじゃないの? とばかりに川にバシャバシャと突っ込んで足を取られている。
「今のうちですよ! 上がってこないうちに攻撃しましょう!」
「わかってる!」
俺のファイヤーボールは2発連続で出るタイプだが、あきひさの投石は1発づつ、しかも拾う為のモーションが長くて攻撃に参加しているとは言えない。
ターゲットは固定せずにいると、近いものに向かって攻撃出来るようだ。 ただ遠距離攻撃のAボタンを押しているだけで、簡単な作業だ。
一方のローガンはどうかというと、やはり、弓をさくさくと連射していて気持ち良くオーク達を蹴散らす。 それでもオークの数は10匹ほどで、撃ち漏らしたオークがワラワラと近寄ってくる。 まずいか……? と、思いきや、ローガンの手から5本の弓が同時に発射される。
それが3回、3×5=15発。 目の前に迫ったオークは2匹絶命。
「距離を取る場合は、レバーを2回同じ方向に入れるとステップになりますよ」
エリシェがオークの接近と、対処方法を知らせてくる。 けど、これは下がる必要ないかも?
「……わかった、けど、これはもうちょっと近距離戦を試してみたい」
「……そうですか?」
もしかしたらだけど、弓って至近距離にも強いのかも知れない。 そう思って多少後退しつつ攻撃を続ける。
「これは……すごい!」
「どうしたんですか?」
「いや、弓が予想以上だ」
近距離まで迫った時には5本同時撃ちを行うようだ。 この5本がそれぞれ殺傷能力が高いようで、5本がそのまま1体に当たるくらい近いと、敵を瞬殺出来るのだ。
オークを半数倒したが、ダメージの殆どはローガンによるものと言っていいだろう。 自キャラの弱さも最初だけと言い聞かせて、弓使いの強さへの嫉妬は収めておく。
「……残り4体です、気を引き締めてください!」
「分かってるって、こいつら川渡り終わってもそれほど早くないし、これはひょっとすると……」
「がんばってくださいね!」
バックステップ&魔法と射撃と投石と。 このステージには飛び道具を持った相手がいない。 圧勝だった。
「……よし、全部片付けた!」
「おつかれさまです!」
今回のスコア
ステージボーナス 10000点
撃破ボーナス 50000点
ノーダメージボーナス 20000点
ダメージボーナス 8000点
ファーストヒット 2000点
MP消費なし 3000点
合計 93000点
「これって凄くない? ややパーフェクト気味な気がする」
「はい、圧勝!! でしたね」
続くステージ2は、少し勝手が違った。 山間の小道、2つの山の間に小さな道がある感じのコースで、川のように障害があっても攻撃は可能という感じではなく、木々が進行の邪魔になり、また射撃の邪魔になるというコース。
バックステップから射撃を繰り返すが木に引っかかってダメージを負う。
カード戦士達は、復活には手間かお金がかかるし、自分で前に出る戦略となった。
ステージに用意されるMPはエリシェ1人だと600。 つまり、俺だけやられるだけなら9回まで復活可能!!
「よし、これで終了っと」
「おつかれさまでした!!」
ちょっとスコアは落ちるかな?
タイムアタックステージ2
今回のスコア
ステージボーナス 20000点
撃破ボーナス 50000点
ダメージボーナス 8000点
ファーストヒット 2000点
合計 80000点
ステージ2まではなんとかこなしたけれど、実はこの先のステージには飛び道具を放ち、しかも攻撃力の高いモンスターが潜んでいる。
この時点では、まだクリアくらいは出来るものと思っていたのだが……。




