第6話 その7
皆が歓喜した。 これが協力プレイの醍醐味なのだろう。 だが喜び勇んで老人の元に戻った時には……傷ついた大鷲は既に息絶えようとしていた。
リョウタ
「これが……結末なのか……?」
老人
「うむ、こんな事で驚いているようではここでは務まらんぞ」
エリシェ
「でも……これじゃ……あんまりです……」
渾身の力を込めてヒーリングスキルで治療を試みる。 ピクリ……と、少しだけ動いたように感じた。
老人
「無理なものは無理なのだよ……」
……大鷲は、既に鳴く事も出来ず、ただ、力無くそこに横たわっている。
リョウタ
「これは……あんまりだろう……」
老人
「我々専門の医療スタッフがヒーリング等を試してだめだったのだよ?」
エリシェ
「……こんな……こんなのって……」
老人
「ギルドで用意されとる大鷲やらも、もし戦闘で傷を負ってしまえば同じ事になるのだ……、お前達はそういう事をやろうとしているのだ、それだけは覚えておくのだぞ……」
リョウタ
「戦闘……同じ……事……?」
エリシェ
「……うう、……グス」
リョウタ
「なあ、エリシェ、カードにこいつ、収まらないかな?」
エリシェ
「え? ……どういう事でしょうか……?」
リョウタ
「つまりさ、カード戦士達って、世界樹の加護? だかなんかで復活出来るじゃん?」
エリシェ
「同じ……事をやるという事ですか?!!」
リョウタ
「じいさん、この大鷲、もう助かる見込みは無いんだよな?」
老人
「……うむ、そうなのだが……」
エリシェ
「ダメで元々ですか……ここから一番近い千年樹へ……運べば……」
リョウタ
「ヒーリングで持たせよう……急いだほうがいいだろう」
老人
「待て、馬車ならここにもある、そいつを使ってみてくれ」
エリシェ
「ありがとうございます!!」
リョウタ
「急ぐぞ!!」
アシモフ
「大変そうだね、俺も同行するよ」
リョウタ
「……間に合えよ!! てか間に合わすからな!!」
急いで馬車の支度を整える。 もう夜も2時半を回っている頃合だ。 馬車の馬には悪いけど、ここは思いっきり飛ばしてもらうからな。
馬に意思が伝わるかどうかはさておき、俺はヒーリング出来るカード戦士も召喚してとにかく馬を走らせる。
アシモフ
「道中の灯りは、まあ月明かりがこれだけ明るければなんとかなるだろう」
エリシェ
「こんな事……本当に出来るのか分かりませんけど……エルフの方々の力を信じましょう……」
夜道に出歩くモンスターにも出会う様子はなく、30分程で千年樹にたどり着く事が出来た。
エルフ
「……こんな夜更けになにようかな?」
リョウタ
「こいつ、もう死にそうなんだ、だから、せめてカード戦士みたいになら復活出来ないかと思って来てみたんだ!!」
エリシェ
「……出来るのでしょうか……?」
エルフ
「我々エルフは万能な訳ではないと言うのに……」
アシモフ
「……ダメなのかい?」
エルフ
「まあ、私に会えたことを幸運と捉えるのですね」
リョウタ
「それじゃ!! こいつは生き返るのか?!」
エルフ
「……それはもう無理でしょう。 ただ生きる世界を変える事になりますが、そこでなら生きられる」
リョウタ
「何でも良いから!! お願いだよ……ここまで来てダメとか……そういうのないだろ……」
エルフ
「わかりましたよ……」
フワッと、大鷲の体が青く光り、そして光と共に空へ登っていく。 これは……?
リョウタ
「どうなったんだ……?」
エルフ
「違う世界に行き、そこで生きています……」
エリシェ
「これで良かったんでしょうか……」
ふと、空からカードが1枚ひらひらと舞い降りてくる。 これはもちろん、大鷲のカードだった。
エルフ
「形は少し変わりましたが……これで、あなたの願いは叶えました」
リョウタ
「うん……なんだか……その、ありがとう……」
エリシェ
「良かった…………」
エルフ
「その代わり、私に会った事は他言無用でお願いしますよ……」
リョウタ
「あ、もしかして……ハイエルフってやつかな?」
エルフ
「ふふ、とにかく内緒ですよ……」
エリシェ
「はい」
リョウタ
「わかりました」
アシモフ
「俺はまあ何も見てないって事で」
エルフは……もう、姿を消していた。 今の今までそこに居たはずなのに。
これは……帰って老人達にも報告しておかなきゃな……。
でも、どうやって話せばいいんだ?
帰ってみればそれどころでは無かった訳だが。




