第1話 その4
熟練のメンバーに囲まれて、一人初心者という状態で周りに迷惑をかける結果になった。
そんな中でメンバーの一人からレクチャーを受け、連携の大切さを知ることとなったリョウタ。
そうこうしている間に千年樹へ到達する。
このページも飛ばしてもらって構いません。 ゲームの中でストーリーモードをやる事になるまではしばらくこんな調子ですので。
無事に千年樹へとたどり着いた。 スコアは結局1万点に届かなくてSPというものを獲得できてない。
初陣として、戦果はそれほどでもなかったが、得られた情報が何よりも大きく、これからもっと激しい戦いになるのだろうとワクワクする。
「リョウタさーん! こっちですよー!」
「あ、エリシェ!」
エリシェは千年樹の周りにある台座らしきものの近くで手を振っている。 あそこが目的地なのかな?
駆け寄っていくが、やっぱし足が遅い。 でもここで召喚ってどうなんだろう? タクシー代わりにシルフの加護ってのはやっぱダメかな?
「ええ、それではこの台座に手をかざしていてください」
「はいっと」
「それでは、私のあとに続けて、同じ言葉を千年樹様に祈りとしてささげてください」
「ああ、わかった」
「では、行きますよ……我、大地と共に生きる者」
「我、大地と共に生きる者」
「天を計り、水を愛し、火もまた力の糧とする」
「天を計り、水を愛し、火もまた力の糧とする」
「あまたの精霊と、四大精霊と、その輝きをもって」
「あまたの精霊と、四大精霊と、その輝きをもって」
「あなたを守ります」
「あなたを守ります」
……終わり? チラっと目を開けてみる。 何となく詠唱っぽく目を瞑ってしまったので、周りの状況が分からなかった。
「終わりですよ」
「……終わりですよ」
「あ、もう、詠唱は終わりですから!」
「……はは、分かってるって」
「……もう、からかわないでくださいよぉ」
「え? ああ、うんそうだよねぇ」
「なんですか?」
「いや、知り合ったばっかだけど、結構時間とかたったじゃない?」
「? ……はい」
「その割に、なんかまだ距離感が遠いって言うか……」
「え、私を口説こうとしてるんですか?」
「……そういうのダメなの?」
「!! ダメです、無理です!!」
と、言いつつ顔はちょっと赤いような気もする。 そんな表情がみたかったんだよねぇ。
「ははぁ、ダメかー」
「……ダメです、街へ帰りますからね」
「はーい」
本当は不安げにしてたのは、どうしてなのか? ってところまで聞きたかったのだけども、予想以上に会話が続かなかった。
「本当はもっと長い詠唱なんですけど、儀式が簡略化されていって、あんな風になったみたいですよ」
「なるほどねー、なんか長そうなと思いきやすぐ終わった感じだったもんね」
「これで戦力は強化される訳ですし、今度は……街中からの依頼なんかに応じたりしてもらうかも知れません」
「ふむむ、街中の……っていうか戦力? あ、そうか、ドロー!」
「はい、ドローはギルドで行うので早速ギルドに行きましょう」
「おお! って馬車とか乗るの? また」
「いえ、帰りはコーリングの巻物があるのですぐですよ」
「そっかー……でも、大丈夫なの?」
「え? 何がですか?」
「ここも街みたいなものだから、使ったらここの入口とかに飛んだりするのかなと思ってさ」
「あぁ、それなら大丈夫ですよ。 魔法を体系化したのはエルフの方々で、エルフ達は人ごみを嫌います。 人が寄り付くような魔法はないです」
「……なるほどねー、俺の知ってるエルフも似たようなモンだったかな」
「では、街へ帰りますね、コーリング!!」
コーリングの魔法は一瞬だった。 まさにあっと言う間だ。 すぐにカードギルドへと向かう。 目的はもちろんカードのドロー。
「エリシェ、ちょっと行ってくるね」
「はい、いってらっしゃい」
カウンターに行き、事情を説明する。 窓口嬢はカワイイ。 とにかく登場キャラはみんな可愛く、という近年の女性キャラの萌え化は、この世界にも当然のごとく適用されている。 まったくけしからん! (嬉々として)
「カードの報酬ですね、こちらからお引きください」
「……よっと!」
カードのドロー。 その能力は……
剣士あきひさ 剣LV2 投石LV1 HP400 コスト71
これは……ザコカードか? って人の事言えないんだけど!
「またのご利用をお待ちしております!」
「はい……」
あからさまにガッカリしてしまった。 とは言え、これで編成が出来る筈だ。 エリシェのところに戻ってみよう。
「どうでした?」
「これ、引いたカード」
見てよ、ってな感じで差し出す。
「これで3枚目ですね……カードの編成が出来ますよ」
「ああ、うん、そうなんだけど」
「どう編成しましょうかね?」
「ん? 弱いの同士で組んでおくとか?」
「……えっと、ですね、まず3人1組みになって戦うのは変わらないんですよ。 それで、あとは能力や戦い方を考えてペアになる組み合わせを、これも3組作ることが出来ます」
「ふむ? 3組……って言うと……」
「そうですね、自分はずっとメンバーに入りますから、残りの2人をどう組み合わせるかになります」
「んじゃ、アルティシアとローガンはこのままで、もう1組にあきひさをセットする……」
「そんな感じですよ」
「こうしておけば、メインチームがやられてもザコメンバーが残るから……不安いっぱいだね?」
「……例えば、アルティシアさんを1人だけにして、残りのメンバーで遠距離攻撃をメインに戦ってみてはどうです? 距離を詰められそうになったらメンバーチェンジでアルティシアさんを出す、とか」
「おお、なるほど! ……ザコ……って自分もだけど、こんなカードが1枚増えただけなのに、結構編成で迷うなぁ」
「オリジナルのまったく誰とも違う、自分だけのチームを組むことが出来るというのがこのシステムの特徴なんですよ!」
「……いいね!」
このゲームに惹かれている自分が、ワクワクしてくるこの感じが! 新しいカードをまた引きたいとか、ドキドキしながらそのキャラの能力を確かめたりとか!!
アクションゲームでありながら、チーム戦で、カードの戦略性、チームの戦略性……これは久しぶりに面白いゲームに出会えた予感!!
「これで、とりあえずは最初の冒険は終わりですよ」
「あら、もう時間か」
「これからは、自由にこの世界を旅して回る事が出来ます」
「その時は、またナビゲートをよろしくね」
「……はい! 良ければ街の問題を解決してもらえたらと思うのですが……」
「街の問題?」
「ええ、私たちサマナーも事情があって呼び出すんですから」
「そういや、何もお礼とかしてないし、俺でも役に立つの?」
「……そうですね、私達は異界から冒険者を召喚しますけど、それを悪用するサマナーも居るんですよ」
……それは、どこでもありえる事態。 便利な機能、力、権力、なんでもそうだけど、それは使う人間次第。 人が集まればそれだけ軋轢を生む。 意見の食い違いやら、主義主張やらってやつだ。
「……大丈夫、俺は無条件でエリシェの味方だよ」
この街で何が起こってるのか知らないけど。 ストライクゾーンど真ん中の、エリシェの頼みなら断れるわけがない。 街の治安とか、そういうのは気にしたことがなかった。 でも、やれる、ってか、やる!
それが冒険者だから。
――第1話 終わり――




