第6話 その3
リョウタ
「でも、危険な動物とか、いない方がいい動物っているんじゃないの?」
エリシェ
「……小さな動物だけは助けてあげたいですねぇ」
老人
「……うむ、最初はまあ私達も同じように、人に害を成す動物は駆除すべきであると、そう思っていたんだがね」
エリシェ
「何か問題が起きたんですか?」
老人
「そうだねぇ、肉食のオオカミだとか、そういったものは確かに人間に襲いかかることもあるし危険だったりする……が、それがもし居なくなったらどうなると思うかね?」
リョウタ
「人間は増える……?」
老人
「まあ、ほんの少しだけ正解だな……もっと他の動物も助かる事になるのだよ」
エリシェ
「それじゃあ、いい事のように聞こえますが……」
老人
「うむ、最初はそれが間違いだとは私達も分からなかった……山が枯れ始めるまではな……」
リョウタ
「山が……枯れる?」
老人
「うむ、オオカミ達は肉食で、小さな草食動物達には天敵だった。 だが、その天敵がいなくなった草食動物達が食べる木の芽や花、草にとっては、敵が野放しにされるのと同じになってしまう」
エリシェ
「……なるほど、厳しい世界なのですね……」
老人
「うむ、野生とは、自然とは……そうした調整が必要なのだ」
リョウタ
「なるほど……ね、でも、なんで俺達に対して、こう、敵意? みたいなものがさっき感じられたように思うんだけど……」
老人
「うむ……この怪我を負わせているのが、原因が冒険者であるからなのだ」
エリシェ
「!!! そんな事……!!」
老人
「力で屈服させようとするだけの荒っぽいやり方なのだろう……」
リョウタ
「なんで冒険者だってわかったんですか?!」
老人
「うむ、治療を試みて治るのは治しておるのだが……どうにも、助かったとしても、人になつかないのだよ」
エリシェ
「もしかして……その冒険者というのは……サマナーを拉致してるような危険な人達なのでしょうか……」
老人
「!! ……うむ、その通りだよ、お嬢さん」
リョウタ
「……あれで全部じゃなかったんだ……」
エリシェ
「そうですね、その可能性もあるからこそ、街の移動は馬車で行うようになった訳ですしね」
老人
「お前達に頼みたいことは、つまり、この辺りに潜伏している危険な冒険者達を取り押さえて貰いたいという事なのだよ」
リョウタ
「……それは俺達だけじゃあ……応援が必要になるな……」
エリシェ
「一旦ギルドに戻って応援を要請してみましょう」
老人
「ギルドになら要請はしてあるのだよ? あとはどんな人間か来るかを待つだけなのだ」
……と、ここまでがイベントなのだろうか。 そして集まって来ては老人からレクチャーを受ける。
今回のこの依頼は多人数で受けるのが一般的な依頼という事になるのだろう。 続々と冒険者が集まってくる……。
冒険者の数は8人。 8人がカードで戦士を呼び出すことで3倍の戦力になる、という事は8×3は24人……これだけの戦力があれば申し分ないだろう。
老人
「今回ここに集まってもらった者達は、隠密というスキルを持って来ているはずなのだ、皆が見つからないように散会して、悪しき冒険者達に先手を打って欲しい」
「あれ? 君は……」
聞き覚えのある声がした。 この声の主は……
「あ、初陣の時の弓使いさんだ!!」
「おっと、覚えていてくれて嬉しいよ。 っとと、自己紹介がまだだったね」
「そうでしたね」
「俺はアシモフ、弓使いだよ」
「魔剣士リョウタです、あらためてよろしくお願いします!」
まさかこんな偶然もあるもんなんだなと……人の縁というのは本当に分からないものだなと実感する。
と、同時にこの偶然の出会いに感謝した。




