エリシェのバレンタイン その2
お店でチョコレートを買う事に決めて、外出しました。
外はやはり寒いままです。
チョコレートは本来なら前日までに用意するべきなのでしょうが、私はどうにも、そういったところが苦手なのですね。
チョコレートを購入して、リョウタさんのところへ。
その購入の後の向かう時の事でした。
……そこで、マキナに連れ出されるリョウタさんを発見して思わず隠れてしまいました。
(え? マキナも……これは義理チョコというモノよね)
マキナがリョウタさんに特別な好意を寄せているなんてそんな事は聞いた事がありません。
……あれは? ……手紙?!!
私達の世界にも本命と義理の2種類があります。 そして本命にはああして手紙を添えて気持ちを言葉にして贈るのです。
本命のチョコレート……?
チョコレートと手紙を渡すマキナの姿と、それを陰から見つける私。
……この構図は……。
何か考えてみるのですが、何も思い浮かびはしませんでした。
ただ、その現実から逃げてしまいました。
……それから少しの間、放心状態に陥っている事を認識する事になります。
……自分の気持ち……リョウタさんを召喚して以来、私は何をしてきたのでしょうか……?
リョウタさんは受け取ってしまうのでしょうか?
……もし、あのチョコレートを受け取ってしまったら、私と契約の話もなくなってしまうのでしょうか?
「はぁ……」
こんな事を考えててもしょうがないですよね……今、私はそこから逃げてきてしまったのですから。
「エリシェー」
念話の指輪は、普段は外しています。 ですので……あの時の、マキナがチョコレートを渡している時の会話は聞こえてません。
これは、リョウタさんが捜しに来たのでしょう。
感知があるから隠れても無駄なんですけど……。
反射的に隠れたくなる衝動に駆られてしまいました。
「……リョウタさん……」
「こっちの世界にもバレンタインってあるんだなー」
……チョコレート、渡したら困ってしまうかも? どうしましょうか。
「え、ええ。 こちらの世界はリョウタさんの世界とは似た作りになってますからね」
「エリシェもチョコくれるの?」
「え? なんでですか?」
「いや、なんかマキナさんがさ、こっちでも普通にあるものだからって言っててねー」
「私は……その、一応……契約主ですから……」
チョコレートは今渡すのが自然だと思いました。
「あ、契約って言えば!! マキナさんからこんなモノ貰っちゃって」
先程の手紙を出して……それをこちらに見せようとしてきます。
……契約……? やっぱり、私……。
パサっと、目の前に出された仮契約書。
「……あ、私…………」
言葉が出て来ません。 息も詰まりそうです……!!
「これって、どうやって処分したらいいの?」
「……え? 処分?!!」
本命の手紙を?!! いや、あれ?!! 契約書を処分……?!!
「いやあ、なんかさ、エリシェが山賊にやられて川に流されちゃった時にさ、魔力が無いんじゃ捜せないからマキナさんと仮契約してたんだ」
「……あ、それなら聞いてます……」
もしかして、その時の契約書? それをなんでチョコレートと一緒に渡したの……?
でも、本命だとか、その手紙だとかでは無かったの……。




