第5話 その8
小屋に入る前には、もう俺も元の姿に戻っていた。 ロミオとジュリアはエリシェにカバンごと抱えられていた。
ロミオ
「なんていうか、まあ、俺らの事はすぐ忘れちゃうんだろうけどさ」
リョウタ
「まあ、いいよ……」
予想していた通りだから。
エリシェ
「寂しくないんですか?」
リョウタ
「また会えると思うよ?」
エリシェ
「でも、私達は忘れてしまうなんて……」
ロミオ
「その、色々世話になったのに、報酬が少なくて悪いとは思ってるよ」
ジュリア
「本当に助けて頂いて……ありがとうございました!!」
エリシェ
「小人のお友達とか……欲しかったのに……」
リョウタ
「まあまあ、あんまし悲しんじゃうと、小人達を困らせちゃうよ?」
エリシェ
「うう……」
ロミオ
「ジュリア、大丈夫だったか?」
ジュリア
「……うん、大丈夫……」
ロミオ
「きっと、お礼するからさ!」
リョウタ
「気付かれないように……か」
ジュリア
「それでも、助けてくれた事は私達は忘れません」
ロミオ
「うん、俺らは受けてる恩恵は倍にして返すんだからな!」
エリシェ
「うう……忘れるなんて……悲しいですねぇ」
リョウタ
「そろそろ遅い時間だし、帰ろう?」
ロミオ
「じゃあな! 兄ちゃん!」
リョウタ
「おう、またな」
エリシェ
「仕方ないですね……では……」
元気の出ないエリシェ。 やっぱり最後の切り札はエリシェにあげるべきなんだろうか……?
などと思いつつも、小屋を去る。
不気味な暗闇が辺りを覆っていて、お化けでも出てきそうな雰囲気だ。
「なんだか、お化けでもでそうな雰囲気だよね?」
「い、あああ、私、暗いの怖いんですよぉ」
「ん? ああ、なんか聞いたことあったっけね」
ザワザワと揺らめく木々。
「キャ! ……掴まっててもイイデスカ?」
「おお! いいよいいよ!」
スっと腕を出すと、そこにしがみつくようにエリシェと腕組みするような形になった。
……グッジョブ、小人!!
「……昼間の依頼の後どうしてあそこに居たんでしたっけ……?」
「んー? なんでだろうね? お化けのせいだったりしてね」
「や、やめてください」
このギュってのがいいんだよね!!
「……もしかしたら小人さんのせいかもね?」
「……小人さん? ですか?」
「エリシェは居たら良いなとか思ったことあるでしょ」
「え、あ、ありますけど……」
多分、あれがクエストのキーアイテムだったんだろうな……。
ポケットの中の小人用の髪留め。 これを持ってる限りは俺は記憶を失くさずに居られるんだろう。
暗闇で怖がるエリシェを、片手に。
小人のプレゼントなのかもと思いつつ帰路につくのだった。
――第5話 終わり――




