表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
26/105

第5話 その2

 街から少し外れたところにある廃屋。 そこが指定された場所である。 ずっと不思議そうな顔をしたままのエリシェが堪えきれずに口を開いた。


「……どうしてその依頼を受けようと思ったんですか?」


「ああ、さっきも言ったけどキークエストって言ってね、俺らの世界じゃこういうのクリアしとくと、話が進んだり、何やら新モンスターが出てきたりしてね」


「おお! 日本のお話ですね! ……日本にもモンスターが居たんですねぇ」


「あ、いや、まあ、どうでしょう」


「リョウタさんの世界……いつか、私を召喚できるようになったら、リョウタさんが呼んでくださいね!」


「……日本には魔法とかそういうのないけど……、出来たらエリシェを連れて遊んでみたいな」


「遊ぶ……って、子供じゃないんですから」


「男は大きくなっても子供心を忘れないものなの!」


「うーん……なんだかリョウタさんて大人なのか子供なのか分かりませんねぇ」


「そう? てか道こっちであってるの?」


「はい、もうすぐですよ」


 街の出入り口になる街道、そこから更に外へ。 街からは多少離れたところにその廃屋はあった。


 林から道だけが伸びていて、そこから階段を使って。 パッと見て誰も使ってない事は明らかだろう……と、思うのだが? 来るまでの道中の雑草が踏み潰されて、足跡を避けるように道が残っている。


 という事は……誰かが通る事は珍しくないのだろうか?


「ここからは冒険者だけで来てくれって事だったし、行ってくるよ」


「はい、何かあったら指輪で伝えてくださいね」


 エリシェはそのまま、道端に座り込んで待っていてくれる。 振り返って手を振ってみる。 ……もちろん答えてくれた。 エリシェ、やっぱりカワイイ。


 ギィィィと、音がしてドアは開いた。 別に大きくない廃屋なので探索には時間はかからないだろう。 けれども、日差しがほぼ入らないようになっており、中は薄暗くて何か不気味だ。 お化け屋敷を思い出す。


 これはエリシェと入りたかったな……。


 お約束の、キャーときてギュッと来るヤツ。


「エリシェ、聞こえる?」


「はい、大丈夫ですよ」


「中は暗くてよく見えないよ」


「そうなんですか……私、暗いの苦手なので……」


「あ! そう?! やっぱそうだよねぇ!」


「リョウタさん、なんで嬉しそうなんですか……?」


「ええ?! あ、そんな事ないんだけどね」


 一応天窓が設けてあり、多少は見えるのだが……それにしても、やたらと暗い。 天窓から明かりの指す真下にテーブルと手紙が置いてある。 ……なになに? この奥の突き当たりを左に進むとドアがあるので、そこでお待ちしています。 


 こんな暗闇で人が待ってるの?


 怪しすぎだ。 とは言え、ギルドで手続き出来るくらいだし、そこまで気を使う必要もないか?


「リョウタさん?」


「ああ、もうちょっと奥があるみたい、そこまで入ってみるよ」


「……はい……」


 ガチャッ。 ドアを開けて中に入る。 人の気配は無い……? 


「ここで話を聞かせてもらえるはずなんですけど……? 誰かいます?」


「リョウタさ……」


 急に落とし穴に落ちたような感覚と、エリシェの声が途切れるのとが同時に起こった……!! これはどうなってるんだ?? 


 ドスンと尻餅をついて、周りを確認する。 何もない。 手に触れるものが何もない。 さっきドアを潜った筈なのに、その淵もあるはずの場所にない。 


 ……あるのは地面だけ。


「エリシェ!! 聞こえる?!」


 だが、指輪がない。 外れている……?!!


「リョウタさん!! 聞こえますか?!!」


 少し離れた所から声が漏れている。 そちらへ駆け寄ってみる……。 暗闇なのでヨタヨタと早歩き程度だが。


「エリシェ?!!」


「なんだか声が小さいけど聞こえますよ!」


「エリシェ!!」


 ガツっと足を何かに引っ掛ける。 なんだ?


「リョウタさん、いま行きますね!」


「いや、危ないかも知れない……ていうかどこから声がしてるのか分からないんだけど……?」


「とにかく行きますよ!!」


 聞こえて来た方向は足元。 つまずいた何かだ。 まさか……スピーカーのようなもの? なんだったんだろう……さっきの落とし穴は。


 遠くの方でバタンという音が聞こえる。 そしてドタンドタンと、規則的に聞こえる巨大な……足音?


「エリシェ!! ここは危険だ、やっぱり来ないほうがいい!!」


「入っちゃいましたよ?」


 遠くで聞こえている巨大な足音であろう音は、だんだんと近づいてくる。


「エリシェ、なんだか大きな音が聞こる、巨大なモンスターかも!!」


「そう慌てんなよ!」


 と、子供のような声が聞こえてきた。 近い。 そして……大きい。


 リョウタ

「いや、まさか、これ……」


 子供?

「こっちだよ、ねぇちゃん」


 エリシェ

「……あなたの仕業なのですか?」


 ……2つの大きな影が、大きな足音と共に近づいてくる。 そして、灯りで照らされて自分の姿がわかったし、そしてエリシェが、巨大な姿で現れる。


 間違いない、俺が縮んだようだ。


 灯りの先に居る俺に気づいてエリシェが近づいてきた。


 エリシェ

「あああ!!! カワイイ!!」


 リョウタ

「ええええ?」


 エリシェ

「こういうお人形、いっぱい持ってたんですよ?」


 リョウタ

「ちょい、いいかな、なんで俺はこんな目にあってるの?」


 子供

「少し面倒な事になっちまって……、それでギルド絡みで冒険者に頼んでみようって事になってね」


 ……小さくされる以上に面倒な事ってなんだ? 仕方ないのでその話とやら、聞くしかなさそうだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ