第4話 その7
マキナ
「その山賊はどうしましょうかね」
シックザール
「待て、俺に謝る方が先じゃねぇか?」
マキナ
「あ・れ・は! 作戦なんです!!」
……よく言うよ。
リョウタ
「まあ、そう言う事だからさ」
シックザール
「……まあいい、そんで? エリシェはどうした?」
マキナ
「まだ見つかってません……」
シックザール
「は? 毒矢だろう?! まだ見つかってないってそりゃあ……」
マキナ
「大丈夫だと信じて探すしかないじゃないですか!」
シックザール
「だけどもなぁ、普通に考えりゃあ……昨日すぐに見つけないと体力が尽きるだろ」
リョウタ
「わかってる!! ……あああああ!! もう!! エリシェ!! 返事してくれよ!!」
マキナ
「……リョウタさん……」
(…………リョウタさん……)
リョウタ
「え? あれ? ちょっと」
人差し指を口に当てて、静かに、という仕草で耳を澄ませる。
(リョウタさん、近くに居るんですか?)
リョウタ
「エリシェ?!! 無事なの?!!」
(はい、ちょっと離れてるみたいですけど……声が聞こえますよ……)
リョウタ
「場所は? 大丈夫なの?!」
(はい……かなり下流の方へ流されてたみたいで……)
リョウタ
「見逃して来たのかも知れない、みんな下流の方だ!」
シックザール
「俺が探す、お前の感知より上のようだからな」
リョウタ
「案内頼む……!!」
急いで今来た道を戻る、山賊はとりあえず縛って放置する事にした。
しばらく下り、馬車で降りた近くまで来ていた。
シックザール
「……反応が弱いのが1つ、通常のが1つだ、多分これだ」
エリシェ
「皆さん、無事だったんですね……!」
シックザール
「それはこっちのセリフだ」
マキナ
「先輩……心配しました……」
リョウタ
「エリシェ……良かった……」
シックザール
「だが、どうやって助かったんだ? 毒矢くらってただろう」
エリシェ
「はい、コレです」
と、1枚のカードを取り出す。 これは……ひめ? ザコカード?
エリシェ
「はい……落ちてすぐ意識が飛んだんですけど、すぐ、その後に苦しくて目が覚めたんです、そしたらまだ川の中で、カバンが浮き輪の代わりをしてくれてましたのでなんとか川縁に流れ着きました。 気が遠くなるような吐き気がして……ひめさんを呼んだんです」
リョウタ
「ヒーリング……? それで助かったの……?」
エリシェ
「ただ、ずっと、意識を持ってないといけなかったので……ずっと、吐き気がある間は眠れずにひめさんに掴まってました……」
シックザール
「吐き気ってのは、そりゃあ毒か?」
エリシェ
「え? 毒だったんですか?!」
リョウタ
「……まあ、その、無事で良かった……本当に……」
マキナ
「つまり、毒に打ち勝ったって事ですよね……」
シックザール
「あれは死んでたぞ、普通なら」
……そうだ。 危なかった。 助かったとは言え、一歩間違えば今こうしてエリシェに会えてない。
リョウタ
「……守ろうって思ってたのに……守れなかった……!! エリシェ、ごめん!!」
エリシェ
「リョウタさん? 私は守ってもらったと思ってますよ……あのカードが無かったら……とても無理でした……」
リョウタ
「……本当……無事で……」
今回はたまたま運が良かっただけだ。 何かがちょっとでも違ったら助からなかった……。
エリシェが……死んでたかも、だなんて……。
今更ながらに恐ろしくなっていた。 命を失おうとしていたのだから。 エリシェは……もう、俺の頭の中では嫁と言っていいような存在。
それが失われるなんて……あいつ等、許せん……!!
エリシェ
「このカードの使い方は魔力の消費が激しくて……少し休ませてください……」
シックザール
(もう眠っちまった……)
マキナ
(限界近かったんでしょうね……)
リョウタ
(そうだ、ヒーリング、俺も使えるんだった)
マキナ
(これなら街に戻ったほうがいいかもですね)
シックザール
(待て、俺は山賊のアジトに居たんだ、この魔力もそこのサマナーのもんだ、動けん)
リョウタ
(そうか、仲間になるフリしてたんだっけ)
シックザール
(エリシェをこんな目にあわせたヤツ、ほっとくのか?)
リョウタ
(……今回は腹が立った、シックザールは時間を見てアジトへ戻ってなんとかごまかして)
シックザール
(……やるんだな? ……あの山賊からガメといた指輪をやる、後で来い)
今回だけは…………丸く収める気なんかない!!




