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第3話 その7

 ベルモンドにはここで退場してもらった。 ギルドからの報告書を提出し早々に立ち去るベルモンド。 


 マキナの方に目をやる。 あとは俺に任せてくれという合図だ。 大臣との一騎打ち? が、始まる。 まずは提案から切り出してみるか……。


「ええ、それでは私の方から提案させて頂くのは、ズバリ、街の治安の向上と兵力の増強です」


「そんなもの、必要なのかね?」


「もちろんです、今のままでは、取り締まる人間が居なければ、秩序というものがなくなります」


「この領内に、不満を持っている人間なんぞ聞いたことがないぞ」


「それはご自身の目でちゃんと確かめたのですか?」


「無論だ。 ただ、兵士の方で止められる事もあるのでな、全部分かっているとは言えないだろうがな」


「……そうですか、では、改めて、今起こっている街の騒動について、簡単に説明しましょう」


「街の問題?」


「はい、今回私はマキナさんの召喚に応じ、街の惨状を見てきました。 それは、自分の欲に駆られて、土地を転がすという事態が多発し、大きな地主が掌握することで、お金を集めるという行為です」


「競争に敗れた店が潰れるのは当たり前の事だ」


「確かに競争、という言葉であれば納得出来ます。 しかし、私の見たところでは、あれは足の引っ張り合い、いや、片方がやっているだけですから、これは妨害という事になります」


「しかし、それに対応するならカードギルドがあるではないか」


「いえ、あれも万能ではありません。 例えばこちらから一方的に依頼を出したとしても、それよりも高額で依頼を被せられたら対応が出来ません」


「ふむ……で、どうしろと言うのだ」


「それはですね……えー、コホン、つまりここからが本題なのですが、街の治安を王政の方から応援して頂くというのが、やはり一番好ましいと思うのです」


 ……以外に早く王手をかけることが出来た。 もう詰んでるよ、大臣。


「兵を街の警備に割けというのかね? そんな事出来るわけがない」


「何故兵を割く事が出来ないのですか?」


「まず、兵員の少なさだ。 人手が不足しているから、街でカードギルドというものが出来た。 兵だけではとてもあのような依頼全部をこなす事は出来ないのだからな」


「……なるほど、カードギルドがあるから、あるくらい兵員が不足しているわけですね」


「分かって頂けたかな?」


「そうですね、ここでもうひとつの提案の方に移らせて頂きます。 それは兵力の増強です」


「何故兵力を? だいたいどうやって増強しようと言うのだ?」


「それは、サマナーを兵士の中に編成するという新しい編隊構成を作るという事です」


「サマナーというのは無理だな、基礎的な教養が足りないではないか」


「では、教養が足りているような方であれば良いのですか?」


「それでもダメだ。 学校が閉鎖されてしまったので、礼儀からなにから教育をさせるような施設がない」


「教育施設……学校が潰れてしまったからダメだと言うのですか……」


「そうだ。 こちらも手を尽くしているのだがな」


「……え? あの、大臣様、学校を廃校に推進なさったのは大臣様ではないのですか?」


「……何を言っておるか、そのような事実など有りはしない」


「……言ったことを覚えてないというのですか?」


「言った覚えなどない! だいたい、冒険者がそんな事に口を挟むことではないぞ?」


「いえ、…………女王様に進言しているはずですが?」


「な、何を! そのような昔の事は忘れたわ」


「忘れたって、そんなに前の事じゃないんじゃないですか? ……そうですね、丁度ひと月ほど前のはずです」


「……何をどうやって調べているのかは知らんが、そのような事実は無かったのだ」


「どうしても無かったの一点張りですか……では、他にも廃止しないと兵士達の士気に影響が出るとか、……それが兵士の不満を解決する策だとか、そういった事も、進言しているはずですが?」


「……お前は、一体、何者なんだ!」


「ただの冒険者ですよ」


「それだけの話ならとりあえず考えておく、今日すぐにでもなんとかなる話ではないからな」


「このまま下がってもよろしいのですか?」


 この場から去りたいという身振りの大臣を呼び止める。


「なんだ? まだあると言うのか?」


「……支援金の事です」


「な、支援金? そんなものは受け取っておらんぞ!」


「おかしいなぁ、ダイモンさんそんな事言ってなかったのに」


「お主、一体どんな後ろ盾があるというのだ?!」


「後ろ盾ですか? それは、もう、女王様に近しい方です」


「ぐ、ぬぬ……」


「支援金を受け取って、まさか内乱でも起こそうというのですか?」


「そ、そのようなだいそれた事など考えていない!」


「では、どのような使い道を?」


「兵士やら貴族やら、そちらに必要なだけだ! 内乱などは考えてなどおらん!」


「貴族達……? 兵士にも振るっていたんですか……」


 ……なるほど、だから街の問題に介入出来ないのか。


「女王様に近しいと言ったな? どうか本人には内密に願えないだろうか……」


「……女王様には内密に……ですか……はい……!! しかし……んー、仕方ないですね……はい、分かります」


「……では内緒にして貰えるのだな……」


「ああ、それは無理です、というか、まもなく女王様がこちらにおいでです」


「えええ?! お主! 何故そんな……」


「……ふぅ、これでもかなり譲歩したんですよ?」



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