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第13話 その7

 決勝から数時間が過ぎ、街をあげてのお祭り騒ぎも最後の時を迎えようとしていた。


 メインイベントの女王騎士団長就任式。


 大広間にて、女王様からフェリドへの直接の任命。女王様の前で片膝を付き、フェリドはそのまま持っている剣を差し出す。


 剣を受け取り、それをフェリドの肩へ静かに置く。


「フェリド、今回の功績は見事でした。 我アルユタートの剣として、この国を支えてください」


「は! この身は女王様の剣として、その剣もまた女王様の意志として、その全てを女王様に捧げます」


 大広間に入りきらない人達も含めて盛大な拍手が沸き起こる。大歓声の中、俺はこれで良かったのだ……だから悔しがる必要なんてない……。


 そう思いつつも女王様とは距離を置き、城の外から賑わいを眺めていた。


 城の2階部分にあるテラスにも多少は人はいるのだが、やはり中よりは静かだし落ち着ける。この落ち着ける場所で静かに事の成り行きを見守っていた。見守るといってもここまで来れば、もうこの流れは止まらない。安心出来そうに見える。


「どうしたんですか……こんなところで」


「エリシェ、良かった……ちょっと会いたかったんだ」


「え、あの、はい……」


「エリシェ、俺、本当は勝ちたかったのに……負けちゃった」


「勝っても女王騎士になるのではなくて私との旅を優先してくれるって、言ってましたよね」


「うん、今回負けた事で、いや、もうちょっと前からなんだけど少し考えが変わっちゃってさ」


「え? どういう事です?」


「俺さ、女王騎士になれたら良いなって思ってたんだ」


「どうしてですか?」


「俺にも……この世界での身分が欲しい」


「……身分……ですか?」


「うん、この世界ってどうしても身分というものが必要じゃない?」


「でも、旅をするのなら全然必要ないです」


「そりゃあそうなんだけどさぁ……」


「どうしてそんなに身分だとか騎士に拘るんですか?」


「それはもちろん……エリシェの事を思ってだよ」


「私……ですか……?」


「なんて言うか、エリシェの事前よりずっと好きだし、本当にずっと一緒に居たい」


「……身分があったって……私達はサマナーと冒険者の間柄じゃないですか……」


「そうなんだけどさ……」


 そう、根本的な部分である。俺はこの世界の人間ではない。


 これはいくらエリシェの事が好きだと言っても変えられない事実であり、俺とエリシェにとっては1番大きな壁となるのだった。


 だが、これが分かっている2人だからこそ、この事は会話にする事は暗黙の了解ということでずっと話題にはしなかったのだ。そして、その答えとして旅を続ける、ずっとサマナーと冒険者の今の関係のまま居続る……。


 どうしてもその事になると現実から目を背けてしまう。


 旅を続けることは、この現実から逃れるための口実になりつつあり、しかしながらこの状況を好転させるようなアイデアもなく。どちらかといえば仕方なしにその結果を受け止めている。


 そんな中、女王様とフェリドという男のベストカップルの誕生と、それを当人たちの事を祝うつもりはもちろんあるのだけれど、それでも羨ましかったという自分が居ることに気がついて。


 どうしようもなく、混乱していたのだ。


 だからフェリドの、あの行動力も人柄も器も……全く勝てないような……実際に闘神祭においても負けているというのもあって、どうしようもない敗北感があった。


 そんな想いをポツリポツリと、エリシェに相談するわけでもなく、ただ、想いを語るだけになってしまったかも知れないが話す事になって。


 そうして、何やらモヤモヤとしたものをエリシェに話すというよりは愚痴ていた。エリシェは……ずっと話を聞いていてくれて、そして額を俺の腕にあてて……ずっと、傍に居てくれた。


 こんな話……したところでどうしようもない、最初は思っていたのだが。


 全くの不意打ちで、エリシェから提案があった。



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