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第13話 その6

 アルカナサバイバル ――闘神祭―― 決勝戦


 相手の体調不良を指摘してそして勝てなかったでは、全く面目が立たない。これで負けたら即八百長だと言われてしまう……。だが、こちらも一応エチゴ戦では無敗のままだし、自分の腕がどうなのか試してみたい。


 なんの事はない、いつも通りに、本気で戦うだけだ。


 本気で戦って、そして勝ちたかった。――――負けた方が上手く回る事もあるだろうけど……でも、それでも勝ちたいと思う理由は、エリシェの存在だ。


 この事・・・はまた後で考えるとして、どうやって勝ちに行くか……。


 作戦を立てたとして、それが通用するのだろうか。俺の今までの戦い方は不意打ちやら、騙し討ちやらが多かったのだから……正面から当たっても通用しないのではないかと思う。


 ……正面から戦うフリをして、実は全くそんな事をしない?


 剣と剣の戦いなのに、そんな駆け引きが出来るのか……。

 あれこれと考えている内に決勝の時間がやってきた。


「えー、それでは!! 両選手、入場してください!!」


 入場する。ブワッと上がる大歓声……。これを聞く限り、昨日の中断が嘘のように思える。というか中断された試合を見に来たというようなそう言う事ではない。試合の事もそうだが、その後の女王騎士団長の任命式。


 この一連の流れの中で、ほんの少しだけ流れを止めただけで、あとはもうどうしようもなく流れていく。大きな流れの、お祭りの中のいいところなのだ。


 そして、これも今日が最後。それが会場のそれぞれに伝わっているのだろう。


「フェリド殿、体調の方は回復されましたかな?」


「ああ、問題ない」


「私も今日が最後、本気の本気で相手をさせて貰いますよ……」


「ふむ、何があったか知らんが……簡単に勝たせてはくれないようだな」


「それでは!! 闘神祭最後の戦いになります!! 決勝戦始めてください!!」


 ジャーン!! ジャーン!! と、2回なる銅鑼の音ももうお馴染みだ。


 スっと中段に剣を構えてジリジリと歩み寄る。一方のフェリドは下段に構えている、というよりは楽な姿勢にすら見える。


 中央へ間合いを詰めて、2人が一足+剣の間合いの距離へ入りそうなその頃に突進すると見せかけたフェイントを入れるつもりだった。だが、それよりも早く、フェリドの剣先がこちらに向けられる。


 ……タイミングを外された?! こんなちょっとした動作で?!


 そしてそのまま、一歩+間合いの距離まで近づく。……これは相手のペースだ。


 ピタリと歩みを止めて、左に……そう思ったところでフェリドは左に剣を差し出して見せた。心の中を読まれているかのような錯覚を起こす。


 ここまで段違いなのか……?


 いや、心が読まれるなんてありえない。そう判断して後ろに下がり、すぐさま大きなジャンプ切りを仕掛ける。これは剣だけを間合いに入れつつ、相手を飛び越えるような、そして相手の攻撃の範囲を確かめる、初手となる。


 ガキン!! 火花の散る空中でフェリドの姿を一瞬見失う。これは振り返れない?! 振り返るスキすらないのか?! 前に飛び出す!!


 フッと足元へ攻撃が来ていたのが分かる、振り返りながら剣を横薙ぎに払う……!!


 ガチッ!! 剣を受け止められた……そのまま、つばぜり合いとなる!!


「なかなかやるな、代理人殿!!」


「フェリド殿こそ……」


 こっちはシルフの加護をMAXに使った立ち振る舞いだというのに……それを、こうも簡単に圧倒できるものなのか?! 相手は武芸者……とは言え冒険者じゃないってのに!!


 当てずっぽうに振ってる剣でようやく当たるような……。だが力負けはしない、こちらは不死で底なしの体力だ。いや、むしろその冒険者相手にずっと勝ちっぱなしという事実。


 さっきの横薙ぎも半ば勘で振っているのに、それが当たってなんとか対等とはね。


 ガチッっと一旦つばぜり合いから距離を置き、もう一度仕掛けてくるフェリド。


 正面からだが、仕方ない……振りかぶり、そしてソレを下ろす前には決着が着いていた。喉元に剣の切っ先を突きつけられて。


「勝者!! 流浪の旅武芸者フェリド!!」


 歓声がこの日の一番大きいものとなって、この戦いは幕を閉じた。



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