第13話 その4
次の日の朝、会場に集まったのは昨日の半分の32名。今日のうちに今度は最後の決勝までを行う事となる。 それぞれの2回戦目が始まるのだが……やはり俺は初戦である。女王様の代理人となるとこういう時厳しい。
会場に進み対戦者を見ると、相手は……アシモフさん?!
「やあ、ここで出会うなんて、結構縁があるよね」
「あ、どうも、久しぶりです!」
「俺は今回格闘に振りなおしてるよ、まあ、見れば分かるだろうから先に言っとくよ」
「それじゃ、剣の方がリーチが長いし、私の方が有利という事ですね」
「……なんだか、女王様の代理人だからか、何だか違和感があるよ、私っての」
笑いをこらえながら話しかけてくるアシモフさんはやっぱりいい人のままだ。とは言え事情があってもやはり負けてはくれないよな。
「手加減はしないでくださいよ……? 私も全力でやりますから」
「うん、こっちも依頼受けてるからね……」
「じゃあ、行きますよ?」
「それでは、始めてください!!」
ジャーン!! ジャーン!! と銅鑼の音が鳴り響く。
さてと、作戦通りに行くかどうか……。作戦は至ってシンプルに。フェイントをザクザクと突きで入れまくるというもの。フェイントというか、攻撃を誘う為の攻撃というか。様子見とも言うかな?
間合いに入る前からヒョイヒョイとフェイントを入れ続ける。剣を横になぎ払うのではなく、突きで、相手の目を慣らしていく……。突きしかしてこないように見せかける。
リーチの有利があるのでアシモフさんもジリジリと追い詰められていく。……そして突きを繰り返すこと数十回、ついにアシモフさんの攻撃が始まる!! サイドステップからの裏拳!!
もちろんこの1発にかけて来るだろうと思っていたのでくらわない、後ろへ半歩、そしてその攻撃をかわすのとカウンター気味に出した場所は自分の今立っていた場所へ攻撃と決めていたので……!!
ザシュッ!!
「勝者!! アルシュタート女王様代理人!! リョウタ!!」
またも物凄い歓声が上がる。これはまあ、最初から剣の方が有利なんだからそんなもんじゃないのかと思うのだが……。
「ふう、強くなってるねぇ、というかずっと剣使ってた人にいきなり格闘で挑んでもだめか」
「いや、まあその、剣と格闘なら……こんなもんですよ」
やはり、今回もカード交換をして握手で終わる。32名が16名まで減って、試合は中程まで進んだ。この頃にはカッツは敗れていたようだが、まあ、いい気味! なんて思っても口には出さないけどもね。晒した本人だとは限らないし、そもそも経験があるから強い訳じゃないのはあいつを見てよく分かった。
そして続くはシックザール。
「おう、上がってきたな?」
「シックザール……なんだか対戦相手が因縁じみてるなぁ」
何度目の戦いになるだろうか? 最初のマキナさん時、あとはあの遭難した時、って少ないか。2回しか戦ってないなんて。だが、これで最後かもな……!!
「んーまあ、お前には負けっぱなしだからなぁ!! そろそろ勝たせてもらうぞ」
「俺も負けられないんだ、本当に」
「それでは!! 始めてください!!」
ジャーン!! という銅鑼の音の1発目から突進してくるシックザール!! マズイ、一気に詰められる!!
ガシイィィ!! と、剣でガードしたがもう次の攻撃に移っているシックザール。このまま押し切る気か!!
イチかバチか……鉄球に攻撃を加えるつもりで跳ね返すしかない。
攻撃にガードではなく、攻撃同士の衝突なら……モーションの差が出ない。1回で良い、チャンスを掴まなければ……!!
果たして、その瞬間が来るわけだが……その後に関してもこのリーチの差は埋まっている訳じゃない。
バキン!! と、今度の攻撃は相殺出来た、この一瞬に勝負をかけるしかない。間合いを詰めて、そして更にもう一度、攻撃を跳ね返す。この距離までくれば……!!
シックザールもここが勝負どころだと分かっている。全方位に攻撃を仕掛けるように横薙ぎにグルッと鉄球を振り回す。だが、それが空振りに終わる。
俺はこの1回のジャンプ切りに賭けていた。上空からの攻撃!!
ガシン!! とまたも攻撃を弾く事になった?!
だが、着地した場所は既に剣の間合い。ここまで密着すれば得物は短い方が有利だ。
……ここで攻撃と見せてフェイント、ザシュ!!
「勝者!! アルシュタート女王様代理人!! リョウタ!!」
ベスト8に登り詰めた瞬間だった。
「くぁーー!! またやられたか……」
「シックザール……この選抜戦で相当腕を上げたんだね……」
「でもまあ、このザマだ」
今の、このシックザールにも勝ったとは言えギリギリだった。あの例のフェリドも恐らく上がってくるだろう。そういうものを確信していた。
あと3回勝てば優勝か……。しかし今までの戦いよりも激しくなる事は予想出来る。
そう思っていたのだが……。




