花噺
短い&正月テンション注意。
一年の計は、元旦にあり――
「ということで、今年やりたいことや上達したいことを今日一日で全てやります!」
「大丈夫!?」
初詣客で賑わうとある神社で、男子高校生二人のテンションは最高潮に達した。
「そんで、まず何からする?」
「うーん、やっぱ勉強だな。学生の本分、学業。俺は今年、特に英語の成績を伸ばしたい」
「英語ねー……去年のお前のテスト、ことごとく英語の点数が足引っ張ってたもんな」
「うるせー! それはともかく、方法としてはまず、本屋でワークブック買って、家で毎日少しずつ解く!」
初詣の帰り道、言った通りにある書店に立ち寄り、少し見栄を張って発展レベルの問題集を購入。そして家に到着した彼。しかし、
「は!? 何これ、文法も単語も訳わかんねーんだけど!」
一ページも解けず、投げ出してしまったのだった。
羽子板を持った男子高校生が二人、ブランコに座りながら喋っている。
「やっぱ自分の好きなことをするほうが継続できていいよね」
「大人しく基礎から英語学び直したらいいのに……」
「ということで毎日サッカーの自主トレしようと思う」
「話を聞け。それはそうと、自主トレって何するの? リフティングとか?」
「俺もリフティングは考えたけど、あれ地味。てか基礎練はつまんないから一つもしたくない」
「謝れ。今すぐ全国のサッカー小僧に謝れ」
「まあいいや。とりあえず、学校の校庭でシュート練習でもする予定」
「まあよくないけど、今日学校開いてないよ、冬休みだし」
これも廃案。
「そうそう、俺今年海に泳ぎに行きたい」
「冬だよ?」
一刀両断。
「何か家でやること考えれば?」
「あ、じゃあ料理! 美味い飯を作れる男子ってモテるんだろ!?」
「動機が不純。で、何作りたい?」
「オニオングラタンスープのクレソン添え」
「難易度高過ぎ」
結局、特にするべきことやしたいことも見つからず、昼過ぎを迎えてしまった。また、理想的な友人の思考回路に振り回されたツッコミ役の少年も、ほとほと疲れ果ててしまった。
刻一刻と時間の減っていく中で、明らかに焦りが見られ出した。
「ああどうしよう!何をすればいいんだ俺は!」
「まあ、落ち着け」
「ん?」
「今年はまだ始まったばかりなんだ。あと364日もあるんだし、ゆっくり探せばいいじゃないか」
「キザだなお前……。……でもありがと」
「は? ありがとって……そのキザなセリフに対する感謝か? ハハ」
「違う。元日からこんな自由な俺に付き合ってくれてることの感謝」
一年の計は元旦にあり。
元旦を仲良く過ごした彼らは、今年一年、さらに友情を深めるだろう、なんて!
今年も宜しくお願いします。




