~運命は二人の心の中に~
いよいよ最終話です!
良ければ、読んでください!
「……え?」
――ヴァンパイアと人間は結ばれない?
「でも、私は好き!だし、貧血になっても平気だよ」
真くんは、少し笑い、
「俺も瑠華が好きだし、一緒にいたいって思う。だけど、他のヴァンパイアにも迷惑かけるし、何よりも……俺、ずっとこの姿のままで、瑠華と同じ年でいれないんだよな……。俺も嫌だし、瑠華だって嫌だろ?」
「そんなことぐらい構わないよ」
私は泣きそうになる。真くんも悲しそうな顔になる。
「俺もこの街から、引っ越すんだ。だから、俺のことなんか忘れて、普通の人間と幸せになって」
確かにそれが一番幸せなのかもしれない。でも私は――!
「真くんの傍じゃないと幸せじゃないよ……」
「俺もだよ」
その瞬間、真くんの瞳が真っ赤に変わる。
「ちょっと、記憶操作させて……」
「んっ……!」
前の傷跡に噛みつく。私の体から、血が失われていく。それと同時に、私の頭の中から、真くんの思い出がなくなっていく。
「嫌……」
そうつぶやいた途端、視界が真っ暗になった。
目を開けると、教室にいた。
「えっ、何で私、教室に……?」
大切な用事があったのだ。でも私はそれを思い出せないのだ。私は忘れている。大切な何かを――。思い出そうとしたら、胸が痛む。ふと、私の指先が首筋に触れた。ケガをしたような跡の感触。そういえば、この傷は何が原因だっけ……?
五年後、私は大学生になっていた。記憶も傷跡もいまだに、思い出せていない。
今私は大学に向かう電車の中だ。あともう少しで、降りる駅――、あっ、降りなきゃ。ふと、下を見ると、私の目の前の人が落としたのか、定期券が落ちていた。
「あの、これあなたのですか?」
思い切って、声をかける。
「えっ?ああ、ありがとうございます……瑠華?」
「何で、私の名前知って――」
途中まで、言いかけてやめた。その瞬間、記憶が渦巻く。この顔、声、もしかして……。
「真……くん?」
自然に声が震える。ずっと呼んでなかった名前。だけど、懐かしく、とても愛しい名前。
「瑠華!記憶は消えたはず――」
「心が憶えてるの……。ねぇ、真くん。今度こそ……、幸せになりたい」
真くんの顔が歪む。
「俺、幸せにしてやる自信がない……」
「私は真くんの傍でいれたら、それだけで幸せだよ」
そういうと、真くんは微笑んだ。その笑顔は今までに見たことがないぐらい、素敵な笑顔だった。
「もう、離さないから……」
そういって、抱きしめる。ぎこちなく抱きしめる腕もすごく愛しい。
「私も離れないから」
この瞬間こそ、私の片思いがやっと実った瞬間だった。
やっと終わりましたね~。
次の作品でも、よろしくお願いします。