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HERO  作者: サトス
5/8

第5ラウンド

その後、家に帰って僕は死ぬほど後悔することになる。

メルアドを聞きそびれたことと、家まで送って行かなかったことの2つについてだ。

まぁでも、今日は僕にしてみたら上出来だ。よしとしよう!

ベッドに入ってから思い出し笑いをかみ殺し、僕はにやけた顔のまま眠りに落ちていった。


次の日の朝のHR前に、昨日の相沢とのやりとりをケンに話した。

ケンは僕の相沢への気持ちをすでにお見通しだ。男前で優しく、勘も鋭い。

2回目だけど、ほんと神様って不公平だよな。

ケンのテンションはいっきに高くなった。

「え〜マジで〜ちょっといい感じやん!家まで送れよバカ。」


「うっさいなぁそれは昨日充分反省したわ。」トイレで2人盛り上がる。


HR5分前のチャイムが鳴りトイレを出る時、ちょうど前を通り過ぎる相沢と目が合った。

不意打ちだ。髪の毛をもうちょっとちゃんとセットしとくべきだった。

「おはよん。そうちゃん」 「お、おはよ・・・ん」

そうちゃん!今確かにそうちゃんと聞こえた。朝だから耳が寝ぼけたのかもしれない。

そんなわけは・・ない。「よっしゃあああああああ」

相沢が教室に入ってから雄たけびを上げた。ケンはちょっとひいてる(笑)

男前にはわかんないだろ、この気持ち。

今日1日僕の顔がにやけてるのは、言わなくてもわかってくれるだろ?


文化祭は確実に近づいていた。どのクラスも休み時間まで

使って最後の追い込みをかけている。僕ははっきりいってダンスが苦手だ。

ラジオ体操でさえ人よりワンテンポ遅れる。

今日もいつもの公園で、僕一人だけみんなよりあきらかにリズムがずれていた。

「ちょっとそうた!しっかりしてよ。文化祭近いんだからぁ、後一週間やで?

あさってまでには覚えてよ?じゃないとカンチョーするから!」

シノブが中指を立てて言う。おいおいそれじゃFU○Kだろ!

僕はシノブに殺されたくはないので人一倍練習にはげんでいた。


でも休憩時間のたんびに相沢のほうを見てしまう。カンフル剤みたいなもんだ。

可愛い。。。。。もし相沢が娘だったら僕は「門限は6時だ!!」

とか言っちゃうだろう。例えが少しおかしいけど、その位の勢いだ。

2日後僕はなんとかダンスをものにでき、まだちょっとぎこちないけど最初に比べ

確実にレベルアップした。これでシノブにFU○Kされないですみそうだ。


合格印をシノブにもらい一息ついていると「なぁ!」マサキが半笑いで近付いてきた。

やばい、性犯罪者の顔だ。けど僕は知ってる、マサキがこんな顔で近付いてくる時は

だいたい彼が恋に落ちた時だってことを。

彼は半笑いのまま口を開く「てか、シノブってけっこう良くない?」


おいおい笑いすぎで頭までやられちゃったのか親友よ。「マジで言ってる?」


「言ってる。最近メール良くするねんけど、なんかけなげっつーか可愛いとこあるんだよ。」


「へ〜、ふ〜ん。」いきなりすぎたのでコメントが思いつかない。


「なんやねんそのリアクション。やっぱりシノブはないかなぁ〜?」


「いや良いんちゃう?世話好きやし、おもろいし、まぁちょっとブチャイクやけど(笑」


「女は顔じゃね〜んだよ」


恋は意外なとこにたくさん転がってる。いつ拾うかは誰にも予想できないけど

きっとこれを読んでるあんたのそばにもそこらじゅう溢れてる。

ちょっと見渡してみて、拾ってみるのも良いんじゃないか?誰もが少しにやけるのは

今僕の目の前の犯罪者顔の彼が、証明してくれたとこだ。

 

「てかおまえは今どんな調子なんだよ。」


「なにが?相沢と?」    「それそれ」


「ん〜なんか進展ないなぁ。そういえば」ここ2〜3日はあいさつくらいしか交わしてない。


「メールは?」     「まだアドレスすら聞いてねえよ」

 

「じゃぁええこと教えたるわ。相沢は気になってる人にしかアドレス教えないんだとよ。

 シノブ情報やから間違いないで!」


「え!!そうなん?それぜんっぜん良くねえよ。今のでアド聞く勇気かんぺき消えた。」


「わりぃわりぃ。でもこれでちょっとは気持ちわかりやすくなったやろ?」

マサキは僕の背中を強く叩いて笑った。

マサキが叩くリズムに合わせて僕の心は少しずつ沈んでいく。

このやろ〜他人事だと思いやがって!その聞かないほうが良いアドバイスのおかげで

その後ダンス練習はあまり身に入らなくて、シノブの中指に何度も脅された(笑

はぁ。こんなんじゃメール一生できないかもな・・・ 

 

               つづく


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