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       095

重い気持ちのままに待ち合わせの東口に向かった。



  秋杜どうしたんだろ……



昨日のメールをまた見返した。



  今日は一緒にいれるって言ったよね…

  どうしてまだ帰ってきてないの?


携帯は何度かけても



電波が届かないとか電源が入ってないとか…

同じ言葉を繰り返すだけ



発信音のあとにメッセージをいれようかと思ったけど

自分は嘘をつく

後ろめたさから何もいれられなかった。



雑踏の中 光太郎は異質な空気を放っている。



  目立つんだけど……



雑誌でみるルイトがそこに立っている。

大きなサングラスが やっとルイトの気配を消してるけど



  カッコいい人


なことは確かだった。



「強引なんですね…私用事あるんですけど……。」



光太郎は笑った。



「クリスマスだもんな~彼氏と過ごすのか?」



「そうですけど……」



「そっか~~ぁ…じゃあ家に送ってやるよ。」



そう言うと私の手を握って歩き出した。



「ちょ…光太郎さん!!手は…まずいでしょ!?」



足が長くて大股の光太郎はどんどん歩き出すから私は引きづられて

小走りになった。



駐車場のエレベーターに乗った。



「光太郎さん…ハァハァ…ほんと…強引……

芸能界では許されてもここでは…許されないですよ……。」



「芸能界だって許されないよ。

結構厳しい世界なんだよ…表面的な華やかさだけさ……

順序は大事だよ。」




「ほら~順序がぐちゃぐっちゃ~~」



「ごめん…ごめん…

なんかさもう一回だけ春湖にあっておきたかったんだ。

何でだろう…明日…戻るんだ…あっちの世界に……。」



「そうなんですか……。」



エレベーターのドアが開いてまた光太郎は私の手をとった。




「光太郎さん~~わかってないわ~~」



光太郎は高笑いをしながら 駐車場を歩く。

私ももう降参してその後に続く。



車はさすが…高級車だった。



社長の車かな……

イスもフカフカで…眠ってしまいそうなくらい

座り心地がよかった。



「昨日は楽しかったです……。」



思わずそう言った。



「俺も楽しかった~~なんかうるさいガキどもに癒されて

とうさんやかあさん

厳しい姉貴たちに いっちゃん……

で その旦那たち……家族の中の一員なんだって…うれしかった。」



エンジンをかけずに光太郎はそうつぶやいた。



「素敵なご家族ですよね。一世さんと課長もとても素敵で

私の憧れなんですよ。」



「利和さんはよくあのいっちゃんをおとしたよな~

めっちゃ年下でさ…よくねえちゃんたちに相談してたっけ~」



「素敵なご夫婦です~」




「昨日久々に家に戻ってきて ここには愛がたくさんあるなって

そう思ったよ……。俺は家族としての愛 親子の愛 きょうだいの愛

めっちゃ病んでたから…帰ってきてよかったよ。」



光太郎はまっすぐ前を見ながらそう言った。



サングラスを外した横顔が…なんだか寂しそうで



「光太郎さん…寂しそう……。」



そうつぶやいたけど…私も昨日からすごく寂しかった。



「春湖も…寂しそうだよ……。」



「え?」



「なんか俺と同じ匂いがする……。」




「え~~光太郎さんみたいに悲惨じゃないですよ~~」




「悲惨って?」光太郎が聞いたから




「言いづらいけど……好きな人に…捨てられたんでしょ?」




「はっきり…言うよね~~ぇ~~

ま…なとこか………。」


光太郎はハンドルを握りながらニ 三回額を軽くぶつけた。

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