008
大学受験のために私は 塾に通っていた。
大学は絶対に ここから出てあたたかい街で四年間を暮らすのだと…決めていた。
もう秋杜の呪縛から逃れるには
楽しいキャンパスライフを過ごすのには ここにいては無理!!
ゆうくんともあの運動会で終わったし……
中学の頃付き合っていた男子も秋杜が嫌がらせをしてきて
終わってしまったし……
嫌がらせって言うのは
付き合ってる人のことをめちゃくちゃ欠点をついてきて
それが結構な図星だったり 気になったりして
ばれないようにしてたのに……
ママたちの横繋がりやら 秋杜たちの周りにいる弟妹繋がりや
そんなこんなでもう
「キ~~~~~ッ」ってなっちゃって………
秋杜に指摘されるたびに 不思議と
そのうちにあんまりこの人が好きって気持ちがなくなってしまった。
「別れたんだってな~」勝ち誇った顔の秋杜
「黙れ…喋んな…」私
「春湖はさ…もう少し待てばいいんだって~~~」
「何を!?」
「俺がもう少し大人になるまで~~絶対俺を好きになるから
無駄な抵抗はやめて大人しくまっとけや。」
「バカじゃないの~~~き~~~~~っ!!」
私のパンチが秋杜の体にヒットする。
「いてっ!!やめろや!!」
「ガキのくせに私と対等になんかなるわけないだろ~~バカが~~ぁ~」
秋杜は私の鉄拳を交わしながらニヤリと笑う。
なんなんだ~~~この落ち着いた様子は~~~
五歳下の小学生に遊ばれてる自分が情けない……。
秋杜といたら…恋ができないかもしれない……。
そんな恐怖感でいっぱいなったりする。
大人になってくる秋杜に時たまときめいていることに
気がついて自己嫌悪に陥る時まである。
だって…小学生だし……
私は高校生だよ………ありえないちゅ~~~~~の~~~!!!
そう言い聞かせては胸の動揺をおさめる。
早く恋をしたい……。
燃えるような恋がしたい………。
ただ同級生にはときめかず……秋杜に対しての恐怖感は増すばかり……
「誰でもいいの~~私が夢中になれる恋を注入して~~」
そう叫んでいた頃
塾の講師の
小笠原 正人 と出会った。
初めての燃える恋に 突入していく・・・・・・・・。
「数学を受け持つ 小笠原です。よろしく。」
一目見て 私の心はラブで一杯になった。
スーツの着こなしがすてきだった。
若くて…スポーツマンで体がガッチリして……浅黒くて……
何よりも指がキレイだった……。
あ~~めっちゃカッコいい~~~
ひさしぶりの感覚だった……このチャンスを逃したら私は
俺様王子の思うまま……????
しっかりとした恋をできる……最後のチャンスかも……と思った。
最近成長してくる秋杜が 怖かった。
秋杜の俺様にときめく自分に…ぞっとすることまである
イヤ…それは私が恋をしていないからなんだ
これだけ啖呵を切っといて 秋杜とどーにかなるなんて
プライドもなんもあったもんじゃない……
そしてそれは間違っていると私は思っている。
私の塾は個別指導だった。
よし…軌道修正だ……
先生を落とすことに 私は夢中になる………。