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「まったく~~あんたは~~
私が来なかったら 大事なお客様にとんでもないことを
するとこだったわ。さすがに私もあんたがこんなことをするとは
思ってもなかったから…情けないわ…。
女に不自由してるの?噂ではずい分遊んでるって聞いたけど~~」
そう言いながら幸子さんは大きな膨らみに何度も
ダメージを与えていた。
「う…いて…いて~よ~ねーちゃん~~!!」
「ほら早く起きて 春湖ちゃんに謝りなさい。
あ~~危ない危ない!!」
「なんだよ…まったく…
俺つかれてんだよ…ずっと睡眠不足だったし~~」
「にしたって眠り姫じゃないのよ。
そんなに寝て悪い夢見るわよ。」
二人のやりとりがおかしくて
私は肩を揺らしてクスクス笑ってた。
「あんたのおかげで お客様に品のない家族だって
ばれてしまったでしょ?」
幸子さんはようやっと体を離して仁王立ちになった。
「俺にはクリスマスなんて関係ないからさ~
寝かせておけ~~」
「甥っ子 姪っ子に 何かないのかな~~」
「ガキ産みすぎだし~~俺正月だってお年玉やってんじゃん~
いっちだってガキ連れてきてんだろ?
クリスマスは俺 いないことにしてくれよ~~
どーせねーちゃんたちの財布に入るんだし~~」
「あたりまえじゃん。
今までの私たちのおかげを忘れたの?
今のあんたがいるのも私たちのおかげでしょう?」
「違うよ~俺をいい男に産んだ
とうちゃんとかあちゃんの遺伝子のおかげだし~~」
また布団をかぶった。
「ちょっと春湖ちゃん バトンタッチ」
「え…私ですか…」
幸子さんの迫力に私はまたふくらみに近づいた。
「平野 春湖です…。
お呼ばれしましておじゃまさせていただいてます。
あの…みなさん待ってらっしゃいますから…
ごちそうもたくさんありますよ。」
「あ…さっきごめんね…。」
「あ…いえ…」
「なんのシャンプー使ってんの?
めっちゃいい匂いしたんだけど……」
「あ…なんだろ……」
100均のポンプに秋杜が入れ替えたからわからなかった。
「入れ替えたので…ちょっとわからないです。」
「そうか~~いい匂いだったな~~」
あなたも一瞬いい匂いしました
「ふえ~~~つ」大きな声を出して光太郎が布団をめくった。
上半身裸だったけど下にパジャマのズボンをはいていた。
立ちあがった光太郎は
背が高くて 多分秋杜よりまだ大きい
思わず引き締まった上半身の腹筋の割れに一瞬目が止まった。
すご……
恐る恐る顔を上にあげると
ボサボサの髪の毛が顔をかくしていた。
「はじめまして 一応長男の 光太郎です。
よろしく…さっきは失礼しました。」
声が低くてめっちゃいい
「社長のところで受付嬢をしています平野 春湖です。
こちらこそ失礼しました。」
「やっと起きたわね バカ息子が~~着替えて早く下に来なさいよ。」
「はい~はい~~」光太郎がそう言うと
「先行ってるからね~忙しい~忙しい~」そう言って
幸子さんは私を置いていってしまった。
「あ…失礼しました。」慌てて部屋を出ていこうとしたら
光太郎が近づいてきて
「あのさ…さっき俺が言ったこと覚えてる?」
私は一瞬考えた。
「あ…えっと…誰かと間違えたことですか?」
「うん…それ絶対内緒にしておいて…
俺 ふられたばっかなんだ~~バカにされたらまた落ちこむからさ~
傷心中なんだよ 俺~~」
「わかりました。内緒にします。」
「サンキュ~~ほんとさ ねえちゃんたちといっちーは
俺をペットだと思ってるからさ。」
髪の毛をグシャグシャにしていたら
無精ひげが見えた。
なんかワイルドだわ~~~
「春湖ちゃんはイブなのにここにいるってことは
彼氏がいないのかな?」
「え・・・あ…まぁ…いるんだけども……」
「あ…いいよ…春湖ちゃんじゃない方を選んだんだ。
それは春湖ちゃんも傷心中じゃん?
仲良くしましょう~~」
私は首をかしげた。
「そう言う事になるんですかね……。」
私が言うと 光太郎は爆笑した。
「めっちゃ可愛い~~
髪の毛もう一回かがせて……」
そう言うと私の頭をわしづかみにしてクンクン鼻を鳴らした。
この人…秋杜と同じことするんだ……
胸がキュンとした。