087
ドアを開けると 天窓があって
それこそ街の夜景を一人占めしている大きな窓があった。
その明るさで電気をつけなくても
部屋はいい明るさだった。
「う…なんじゃ~~」
カーテンのかかってない大きな窓からは夜景
多分寝転んだら 星
「す…すごいわ~~こんな生活送っている人がいるなんて…」
「おじさまは特別よ~本当に努力家で
家族思いで…この家は素晴らしいけど…家族愛に溢れているから
この家はさらに輝きを増していると思うのよ。」
一世さんがそこらへんに脱ぎ散らかした洋服を拾い集めて
ソファーの上においた。
「噂によるともう二日は姿を見てないらしいわ……
ここの主は……食事もせずに眠り続けてるらしい。
見ててね~~」
そう言うと天窓の下の大きなベットのふくらみに一世さんが
手をかけて
「光太郎起きなさい クリスマスだからあなたも起きて
ほら…おじさまも話したそうよ。」
一世さんが人が変わったようにして
揺すり起こしても 叩いても 光太郎は起きてこない。
「もしかしたら…死んでるんじゃ……」
「え!?」
「だってそんなに起こしてるのに…起きないなんておかしいです。」
「うふふ~~それが生きてるんだよね~」
一世さんが笑う。
「ほんとに起きないのよ。多分火事になっても起きないわね。」
「え~~だって…普通こんなにしたら起きますよ。」
「じゃあ…春湖ちゃんにお願いしようかな~~」
一世さんが ニッコリ笑った。
「ム・・・ムリです。こんなに乱暴に起こしても起きないんですよ。
それに…知らない女に起こされたらビックリしますよ。」
「だからお願いしてるの~~
私もこの子にとってはおねえちゃんの一人だから
甘えて絶対に言う事聞かないんだもん 末っ子の男なんてこんなもんだけど~」
「そうかもしれないけど…ビックリしますよ…ほんと…」
「ビックリさせて見て~~」一世さんが楽しそうに体を揺すらせた。
その時一世さんの携帯が鳴った。
「…はい……え…?わかった~~今行くわ~」
一世さんが携帯を切って
「ごめん おしっこもらしたんだって~~
ちょっと行ってくる~~頼むね~すぐ戻ってくるから~~」
「あ…ちょっと一世さん~~」
「すぐ来るからね~」そう言うとエレベーターで降りて行った。
一人取り残された私は しばらくベットの膨らみの前に立っていたけど
「あの…すみません…平野といいますが…
ご家族の方に頼まれて…起こしに来ました。
あの…すみません…起きろとご家族が……」私は遠慮がちに揺り起こした。
「すみません…起きてください……」
「ん……」やっと一声をあげた。
今だ
「すみません起きて下さい…ご家族が呼んでますよ。
今日はクリスマスだから…起きて下さい……。」
「クリス・・・マ・・・ス?」
「そうです…みなさん集まって……」
そう言った瞬間だった
ガバッとベットの中に押し倒された。
「…香澄……戻ってきたんだ……。」
「ちょ…ちょっと…キャ…やめてください」
光太郎の上半身は裸だったから…
「香澄…香澄…」
いい匂いがした。
あ~~違う~~違う~~ヤバイ~~
「キャ~~!!一世さん~~助けて~~~」
そう叫んだ瞬間
「ウギャ…!!!」
光太郎の体が沈んで私は慌ててベットから飛び起きた。
「こら~~てめ~~お客様に何してんだ~~!!」
幸子さんが飛び乗っていた。
「ぐ…ぐるじ~~~ぃ~~」光太郎の声が震えていた。
ビックリしたけど その光景がとってもおかしくて
私は思わず声をあげて 爆笑していた。