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「春湖ちゃん~」
仕事場に向かう地下街で課長に声をかけられた。
課長は 東京へ出張していて その間 一世さんと二人の子供たちも
一世さんの実家に里帰りをすると言っていた。
「これ…」大きな紙袋から 箱を取りだして
「個人的にお土産。」
「ありがとうございます~~!!
長い出張でしたね~~一世さんも子供たちも元気ですか?」
「うん~一世は同級生とあったりして
久々にリフレッシュしてきたみたいだよ。」
「よかったですね~~」
「そう言えば~社長から褒められたんだって
すごいじゃん。あの社長 社員を呼んで褒めるなんて
なかなかそんなことはないから よかったね。
実物も笑顔の可愛い子だったって言ってたよ。」
「ご丁寧なお客様のおかげです。」
「接客は大変だけど…お客様が喜ぶ接客をするって
とても楽しいことだよね。
それを春湖ちゃんが みんなに伝えていけばきっとうちの
接客はもっと向上すると思うよ。」
「はい。頑張ります~~」
「あれ?だけどどうして知ってるんですか?」
「あ…あんまり言えないことなんだけど…
一世は…社長の姪にあたるんだよ。」
「え~~~~~ぇ~~!?」私は衝撃の事実に思わず声をあげた。
「シ~~~~~ッ!!!」課長の声に口をおさえた。
「マジですか?」
「そう~でもこれはみんな知らないんだ。
俺らの結婚式にも社長はわざわざ参列しなかったから
ばれるといろいろ言われるだろ?
俺が腹黒いとか 贔屓されているとか……。
俺が一世を好きになったのは そんなこと関係ないし…
俺の努力を贔屓と片付けられるのは絶対イヤなんだ。」
「はい。そうですね。わかります。
一世さんを好きになった課長は本当に素敵です。」
「だからあえてお互い言わないことにしたんだ。」
「私には教えて下さったんですね~うれしいです。」
「社長が俺たちが君と面識があるって聞いたら
今度 一緒に家に連れて来るようにって言ったんだよね。
ちょうどクリスマスパーティーもあって
社長のとこにも孫が集まる恒例の行事なんだ。」
「うわ~~私もですか??」 興奮気味な私…だけど…
「あ…でもクリスマスは…カレと……」
「やっぱ?そうだよな~きっと無理だって言ってたんだけどさ。
一応24日の夜からだから…都合がもしもついたら連絡して……」
「ありがとうございます。」
めちゃくちゃ興味があったけど クリスマスはヤバイでしょうlll
「残念だわ~~興味大だったのに~~」
「すごいよ…マジで……。」課長はそう言うと 私に手を振って
先に歩いていた 社員を見つけて走っていった。
ほんとビックリ~~
一世さんはおじょうさまだと思ってたけど
やっぱり…凄いんだわ……
「行ってみたかったな~~」
でも25日の朝は もしかしたら秋杜の腕の中で朝を迎える予定だから……
もうすぐクリスマス……
今日は帰り プレゼント買ってかえろう
だいたい決めていた 秋杜に似合いそうなパーカー…
袖を通す秋杜を想像して…また胸がキュンとした。
キュンキュンしすぎて…キュン死したりして……
幸せをかみしめる…クリスマスへのカウントダウン………。