079
二人の心が結ばれたあの初雪の頃が嘘のように
毎日毎日雪は降って
知らない人とも
「雪はいらないよね~」と会話できるほどの雪だった。
毎朝私たちは キスで挨拶する。
行ってらっしゃいのキス
お帰りのキス
そして寝る前のキス
甘いキスの中で暮らしていた。
朝 秋杜が登校する時には
私が買ってあげたマフラーを巻いてあげる。
その間も 秋杜の唇は私を酔わせてくれた……。
そんな距離が縮まっていくほど
いつになったら全部秋杜のものになるんだろう
私の頭の片隅には そんなことばっか考えていた。
多分…きっと女慣れはしてる…はずの秋杜が
いつ自分の全部を求めてくれるのかが今の私の大きな問題だった。
準備は万端 いつでも来い
私の頭の中はそんな期待感で一杯だけど…今のとこ
秋杜はそれ以上は 求めてこなかった。
おかしいな……
おやすみのキスの後は 秋杜はそのまま部屋に直行だし
遅くまで電気がついているのは
多分テスト勉強をしているから
学業の邪魔はできない……。
慣れてる女はやだね~~
そんな余裕…いらないわ……
まーくんに捧げた大事なものが今さらながら…もったいない
秋杜に…捧げたかったな……。
好きな人に捧げる…それがけっこう重要なことに
今回気がついた。
秋杜はどう思うかな…
まさか初めてだとは思ってないだろうけど……
一緒のベットで温め合って…朝を迎える日は…いつになるのかな……
窓の外の雪を見つめながら……
「明日も積もるのかな~」そうつぶやいた。