073
「春湖~起きて~~起きて~~」
由美ちゃんにゆりおこされて飛び起きる。
「春湖~~ごめんね~~眠たいよね~~でも
時間だから起きて~~」
由美ちゃんも眠たそうだった。
「午前中 秋杜を迎えに行って 学校は今週一杯休ませるわ。
私もしばらくいたいんだけど…秋杜のことお願いしていい?
仕事仕上げないと お正月が来ないから……」
「それはいいよ。別に秋杜は一人でも
なんでもできるし…手は全然かからないもん~
由美ちゃん朝大変だって…甘えてたんじゃないの?
私は起こしたことすらないよ。」
「へ?そんなこと私言ったっけ?」
由美ちゃんがおかしな声を出した。
「うん
朝がダメだから…私をお目付け役にしたんでしょ?」
おかしいな……
「あ…そうそう…そうだったわ……
おかしいわね~それはきっと……秋杜がいいとこ見せようと
必死だってことね~~母親には甘えるもんだから息子は~~~」
そう言うと意味深な笑いをした。
気になったけどとりあえず 仕事に行く準備をして
由美ちゃんの朝ご飯をいただいて 出勤した。
帰ってきたら 昨日の続きができるのね
昨日の夜のキスを思い出して 私は興奮した。
秋杜と……どうしよう……
あんなことしたり…こんなことしたり………
「おねえさん。」地下鉄の入り口で声をかけて来たのは
憎たらしい萌だった。
「あら…おはよう。」
背筋をピンとして 威嚇するように挨拶した。
「秋杜はまだですか?」
「あ…ちょっといろいろあって…今日は休みだよ。」
「え?昨日ずっと電話してたのに…全然でないから……
心配になって…家にいるんですか?」
「家には…今…いないんだよね…」
なんて言おうか…頭の片隅が必死に集中している。
「どうしていないんですか?」
「あ…うん…それは……。」
答えに困ってると
「おねえさん…ヤキモチ焼いてないでちゃんと教えてください。」
「は?ヤキモチって……」
「意地悪しないで教えてください。
私にとってはとっても大事なことなんですから!!」
コイツ…めっちゃムカつく……
制服の短いスカートが風でふわっとめくれた。
よく見ると きかないけど…カワイイ子だった。
「別に…意地悪ってことじゃないけど 秋杜がなんて言うか……
今日学校で聞くと思うから……それまで待ってて……。」
萌は不安げな顔で私を見つめた。
秋杜は私のものよ……
ちょっと上から目線な私……
大人げないけど……
若くない分…許されるでしょう?
萌は頭を下げて地下鉄の入り口に消えて行った。