071
唇が離れて…私は恥ずかしくて思わず下を向いた。
「どうして?キスしたの?」
「目が覚めたら 春湖の顔が近くにあったから……」
秋杜は笑った。
「心配したんだよ。もう痛くない?」
「痛くないよ。全然~」
「ほんと?ずっと目を覚まさないから…心配したんだよ…。」
私は鼻の奥がツンと痛くなって また涙が溢れだした。
「心配してくれたんだ…。」
「あたりまえじゃん…もう会えなかったらどうしようかと…」
「俺に…言いたいことあったのか?」
「え・・・・?」
秋杜の手が私の頬に触れる。
「言いたいことって・・・・・?」
「さっき言ってただろ。言いたいことたくさんあるって……。」
「ええ・・・ちょ…ちょっと……
起きてたの?もしかして全部 聞いてた?
どこから起きてたのよ~~~ぉぉ!!!」
顔から火が出た。
秋杜はニヤニヤして私を見てる。
「あ~~ちょ…ちょっと~~ひどいから!!」
私は顔を隠して 首を横に振った。
「ほんとはさ…事故にあった時から起きてたんだけど
春湖があんまりにも俺を心配してくれんのがうれしくてさ…
つい…寝たふりしてしまって……。
でも正解だった おかげで…いいこと聞いちゃったし~」
「ひどいよ……。気持ちの整理できてないのに……。
秋杜が目覚めたら ちゃんと段階踏んで心を伝えようって思ってたのに……」
「じゃあ…今言えよ……。」
「やーよ……もう言ったもん……。
もう二度と絶対永久に言わな………」
起き上がった秋杜の抱きしめられて……二度目のキス……
「言えよ…俺がずっと待ってた言葉なんだし……」
唇を離して秋杜が言った。
「ン……ヤダよ……言わないもん……」
「言え……」
「絶対言わないから……好きだなんて永久に…言わない……。」
「めっちゃ……しびれる……。」
秋杜のキスをまた受けて 私の体はもっともっと甘く痺れて行く……。
神様……ありがとう……
点滴の入った手をかばいながら 秋杜の手が私の背中を優しく撫ぜる……。