069
あの後 何が起きたのか・・・もつれながらやっとのことで
近づいた秋杜は 静かに眠っていた。
体中に震えがきて
私はもう一人では立ち上がれないくらいになっていた。
「秋杜?秋杜?」
どこからも血も出てない ただ眠っているようで・・・
あまりに何も変わらないから 余計に不安になってしまった。
救急車に乗せられて 私は隊員の人から毛布をかけてもらった。
その間も秋杜は眠ったままで
「大丈夫ですか?秋杜は…このまま死なないですよね…」と
何度も何度も聞いた。
病院の処置室の前のベンチで待っていた。
慌ただしく看護師が出入りする。
次から次へと急患が運び込まれて騒然としていた。
私は病院の毛布にくるまってまだ歯を鳴らしていた。
どうしよう・・・どうしよう・・・
秋杜がこのまま死んじゃったら
私はまだ秋杜に何も伝えてない・・・・・
しばらくして
「新居さん」と診察室から呼ばれた。
私は震えながら立ちあがって歩こうとしてるのに
震えでうまく歩けない
看護師が見かねて車いすを出してくれて
押してくれた。
「大丈夫ですか?」
「先生…あ…秋杜……秋杜は……」
歯が鳴ってうまく話せない。
「いろいろ詳しい検査したけど異常は見つかりませんでしたけど
用心のため今日は入院してもらいます。」
先生が天使に見えた。
「本当ですか?どこも悪くないですか?」
「相手の車もそんなにスピードでてなかったようだし……
よかったですね。」
涙で何も見えなくなった。
「今日は急患が一杯で 病室も空きがなくて…ニ階の個室に
入ってもらいましたから・・・・」
看護師の背中を見ながら さっきの震えが嘘のように
早く秋杜にあいたいと足が動いている。
「何かあったら 呼んでくださいね。」
看護師はニッコリ微笑んで 秋杜の点滴を確認した。
相変わらず秋杜は眠っている。
「このまま目…覚まさないなんてこと…ないですよね…?」
静かに眠る秋杜を見ながら不安になってきた。
「大丈夫です。そのうち目を覚ますと思いますよ。」
「そうですか・・・よかった・・・・。」
神様に感謝した。