006
「秋杜!!どーいうつもり!?」もう許さない!!
私の怒りは頂点に達した。
「ごめん…秋杜には注意したよ…本当にごめんね……」由美ちゃんが謝る。
「別に由美ちゃんに謝ってほしいわけじゃないよ、こいつだよ、こいつ!!」
王子はツラ~~っとして違う方向を向いている。
「許せ…こいつはヤキモチの末の行動なんだ。それもこれも
春湖を愛するがゆえの行動だと思ってくれ~~」
尚ちゃんはそう言うと 秋杜の頭をもって頭を下げさせた。
「やめろよ!!」秋杜が抵抗する。
「だってさ~あいつより俺の方がうまく踊れるからさ。」
「まだ…そんなこと言って~小さいからって調子に乗るな!!」
私は秋杜の頭を叩いた。
「いて!!何すんだよテメー!!」可愛い顔から飛び出してくる悪の言葉
「あんた ゆうくんに蹴りいれたんだかんね!!」
由美ちゃんは頭を抱えた。
尚ちゃんとパパは口を揃えて
「めっちゃ かっけ~~ぇ~」と乾杯した。
「だってアイツ 春湖を泣かせただろ。」
「怒るに決まってるわ。うちらの運動会なのにめちゃくちゃじゃん。
もう二度とくんな~~~~ぁぁぁ~~~」
あれからゆうくんに 無視されたんだ。
悲しい……もう最悪……
秋杜がいるとろくなことにならない~~~~
私はたまらず 自分の部屋に戻って 最悪な気分をかみしめた。
それから数日たって ひさしぶりに幼稚園に行った秋杜だったが
大暴れして帰って来たとかで 由美ちゃんと尚ちゃんが秋杜を連れて
謝罪に行ってきたと 夜二人でウチにきた。
「秋杜は?」
「怒ったらめずらしく泣き続けて寝ちまったよ。」尚ちゃんが困った顔で言った。
「プライド高い秋杜がめずらしいね~~また何で暴れたの?」
ママが二人にビールを出した。
「それがね~玄関ホールに飾ってあった写真なんだけど知ってた?
春湖が写ってるんだけど…その写真を見つけたんだね~~
例の彼氏とツーショットで
その写真の下の言葉が 『結婚しま~す』だったのを見つけたらしくて
友達の背中を借りてその写真を とろうとしたのが見つかって
先生にかなりの反抗したらしいのよ……フ――ーッ……」
由美ちゃんのためいき・・・・・。
「え~~!?どんな写真~~」私はそっちの方が気になって尚ちゃんに聞いた。
「破ってビリビリ~~ィ~~んで二度とこんなもん貼るなって言ったらしい。」
「ありゃま~~~」パパとママもため息をついた。
「アイツは小さいなりに春湖に対しては 男になりたいんだな~~・
悪いな~春湖~~運動会にしても今回のことにしても…ちょっとやりすぎだな~」
「今頃気づいたの?」私は口を尖らした。
「大丈夫だよ~~秋杜だっていつまでも春湖に固執しないって~~
自分の世界を見つけたら 春湖なんてただのおばちゃんなんだから
とにかく幼稚園とかちゃんと行かせて 秋杜の基盤を作ってさ~~~」
ママがそう言って 由美ちゃんの肩をたたいた。
「秋杜が予定通り 生れてくれてたら春湖一筋で楽しみだったけど
今の5歳はちょっとイタイよね~~~」
「心配ないって~今に秋杜から離れるから~~ぁ~」
ママはそう言ったけど私は 心配だった・・・・。
「本当にそう?」 私だけは…なんだか嫌な予感がしていた。
そう…予感的中・・・・・。
秋杜の私への固執は強くなり・・・・
秋杜が小学6年になった頃には私は高校2年生・・・・・。
秋杜の背が私を超すと 秋杜からの押し付けはさらに笑えなくなった。
そろそろ私の中でも 秋杜を男として意識し始めていた。
そんな中・・・・
高校二年の夏 私は恋をしていた。
その恋はやがて 燃え上がり……私はその人に初めてを捧げる。
私と秋杜の関係がこじれ出した。