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思いっきりドアを開けると 女の子が立ちあがった。
「こんにちわ おじゃましてます。」
「いらっしゃい。」
私 ちゃんと微笑んでるかしらって不安になる。
「秋杜くんと同じクラスの 倉田 萌 と言います。
とても仲良くしてもらってます。」
だから?なんだか挑戦的な目が気にいらない
「平野 春湖 です。
秋杜はなんて言ってるの?」
「隣の怖いおねえさんって言ってました。」
ピキ……
「おまえな…俺はそんなこといわねーし…」
秋杜が言うと
萌は
「きゃははは~」と能天気に笑った。
何…コイツ……
「怖い隣のおねえさんです よろしくね。」
飛びきりの笑顔で……
負けるかぁ……
「春湖 髪の毛切ったのか?」
「よくわかったね~美容室行ってきたの。
色もちょっと暗くしたんだよね。」
どーだ?
「いい感じじゃん~」秋杜は笑った。
ショートボブの萌は少し頬をふくらませていた。
「じゃあ…あんまり遅くならないうちに
送って行ってあげなよ。」
私は大人ぶってそう言った。
「送ってくれるの?やった~~ぁ~
おねえさんがそう言ったんだから 言う事聞かないと~」
「最初からそのつもりだよ。」
「でしょ~~?絶対意地悪なこと言うんだもん。」
萌は秋杜に体をぶつけて甘えたから私は 慌てて目を離した。
こんなに胸が痛いなんて……
知らなかった。
「そろそろ送ってくよ……。」
「え~~まだいたいのに~~~
この間は私の部屋にずっといてくれたじゃん……」
秋杜と目が合った。
罰が悪そうに秋杜が目をそらした。
何度か遅い時あった…そうだ…誕生日の時も……
やっぱり……この子と一緒にいたんだ。
「あの時は………。」
「遅くならないようにね……。じゃあ私は部屋に行ってるから。」
もうここにいるのが耐えられなかった。
「おねえさん……」
萌が私を呼んだから ふり向いた。
「また…遊びに来てもいいですか?」
何なの…この女
なぜかこの攻撃的な…高慢ちきな態度にムカついたけど
私は大人だもん~~と必死に言い聞かせる。
「秋杜のお友達なら…またいらっしゃい。」
「彼女志望なんです。次にお邪魔する時は彼女になれてるといいんですけど。」
秋杜の顔をちらっとみて微笑んだ。
「おまえな・・・・・」
さすがにいらついた顔の秋杜に
はっきりいってやりなさい
と心の中で叫んでいた。
「じゃ…おじゃましました~秋杜~~送ってって~」
萌は私を押しのけて リビングを出て行った。




