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       061

「結婚してください」



「無理だから……」



「あなたじゃなきゃ俺…ダメなんです。」



七歳年上の上司に恋をしたトシくんは 猛アタックしていた。

いつも上司にカウンターパンチを喰らっても 何度も立ち上がって

今日で何十回目だろう……それでもどうしても どうしても彼女しか考えられないかった。




初めて会った時 からだじゅうに電流が走った。

上司の一世さんは 教育係として新入社員の応対 マナーの講師として

トシくんたちの指導にあたった。



最初は「つきあってください。」からはじめた。

相手にされるはずもなく メガネをあげて

「言う相手 間違ってない?」とツンとした顔で言った。



  うう・・・・いいな~絶対いい!!

同僚たちは若い女子社員といろいろ頑張ってたけど

トシくんにはもう一世女史しか目に入らなかった。



一世女史につりあう男になりたい。

その一心で同僚が飲みに出かけてる時間も 残って勉強した。

帰っても もっともっと上に行くんだ

その一心で頑張っている。自分のために いつか一世女史をゲットするために……



「懲りない人ね……。」あきらめたように一世女史が声をかけてくれた日

疲れがたまってたトシくんは倒れてしまった。



殺風景なアパートに訪ねて来てくれた一世女史に

まためまいがして…思わず憧れの女性の胸にもたれかかってしまった。



「大丈夫?無理するからよ。」



その日から女史は部屋に来てくれるようになった。



「美味い!!一世さんの料理最高!!」



「そう?たくさん食べてね。榊原くんは本当に

美味しそうに食べるのね~うれしくなるわ。」



いつの間にか二人の距離は縮まり 付き合うようになっていた。

知れば知るほど好きになる。


七歳年上に一世女史はこだわったけど トシくんにはどうでもよかった。

結婚を申し込んだ時 きっと後悔するから無理と

頑として受け付けなくなった。



「別れましょう」


「やだ…俺はあなたしかいない……。」


「年が離れすぎてるわ。きっと後悔するから…

女の年上は老化するのが早いんだし……」



トシくんにとってはそんなことどうでもいいことだったから

もう押して押して 泣かれても押して……


「素直になって……俺のこと少しか愛してるでしょう?」


「愛してるから断ってるの……。」


「俺にはあなた以外考えられないんだ……」



一世女史が心を開くのを…押して押して拒否されたら

抱しめて……別れるって言ったらもっと強く抱きしめて……




「仕事やめるわ。」ある日 一世女史が言った。



「え?」



「あなたのところに永久就職するから…いい?」と微笑んだ。



トシくんは人生で初めて 女性の前で声をあげて泣いた。



「絶対幸せにしてくれる?」



「あたりまえだよ……俺の宝物だもん……」



「私も幸せにしてあげる……あなたがいつも笑顔でいられるために

私の人生を費やすわ。最高の永久就職ね……。」




課長夫婦はこうして結ばれ 今も幸せな毎日を送っているとな……




「おしまい~~」



私は頭の中で 今日二人から聞いた話をまとめて物語にした。



「素敵な二人だった……。

私も一世さんみたいに愛する人に一生愛されたい……。

一番愛してる人を一生愛し抜きたい……。」



そう思って 眠りについた。

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