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日曜日・・・・
巷は休日だけど私には 日曜が休みなんてことはありえない。
仕事もめっちゃ忙しいし……
変な客も来るし…それでも口角あげて微笑むのが私の仕事
もうすぐ秋杜の誕生日だった。
何かプレゼントするべきか考えていた。
一緒に暮らしてるんだし……
帰りいろいろ見て歩こうと思っていた。
秋杜が生まれた時を思い出した。
いつも可愛がってくれる尚ちゃんと由美ちゃんの赤ちゃん…
秋杜を少し複雑な気持ちで見ていた。
最初はライバル それからストーカー
ウザイ存在になって それから…どんどんいろんな想いが混じって
そして今は…切ないくらい好きになっている……。
私が素直になったらきっと簡単なことなのかもしれないけど
私と秋杜はきょうだいっていう感覚も捨てきれず…
どこかで拒否してしまう自分がいる
壁があって それを乗り越えることができないから
前に一歩も進めなくなった。
ショッピングセンターはすごい人だった。
いろいろ悩んだ結果
冬用の黒いマフラーにした。
秋杜の制服姿を想像して これが一番よく似合うって思った。
夕飯の支度もあるし 足早に帰り道を急いだ。
秋杜の好きな林檎を買って外に出た。
「日が短くなったな~」夏だったらまだうっすら明るかったけど
私の前に背の高い男の子が歩いている。
秋杜だ……。
私が走り出そうとした瞬間 後からパタパタ足音がして
私を抜かして行った。
そして秋杜の腕を掴んだ。
うわ…秋杜怒るよ……
私はヒヤヒヤしてたけど・・・・秋杜はなぜか無抵抗だった。
されるがままに秋杜は 黙って歩いている。
女の子は掴んでいた手をはずして 秋杜の洋服の端をつかんでいた。
胸騒ぎがした。
秋杜は私以外の女にはずっと冷たいと思っていたら……
25歳の女とは・・・そんな関係だから…仕方ないけど……
同世代の子には興味がないと思っていたから
少しショックだった。
途中の道で女の子は左に曲がっていった。
「バイバイ~~~」女の子が大声で言ったら
横顔の秋杜が吹き出した。
笑った???
「じゃ~な~」秋杜も軽く手をあげて
肩を震わせて笑いながら歩き出した。
「今 笑わないで 一緒にいる時笑ってよ!!
バーカー!! じゃあね~」
女の子はもう一度大きな声でそう言って走り去っていった。
秋杜にはいつも自分の生活の中で 恋をしなさいって
言い続けてきたから
今まで見たことのない秋杜を見て
何か今までと違う進展を見せていることは
喜ばしいことだったけど
今の私にはそれは建前だけであって心の中は 複雑な気持ちで一杯だった。
秋杜の笑顔に・・・・一気に暗雲が立ち込めた。