表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/223

       049

上司の名前は 榊原 利和と言って 総務の課長だった。


まだ若干35歳にして デパートの中でも一目置かれる存在らしい。

東大卒 英語 中国語 韓国語 ができて 海外出張も多いエリートだった。


今まで通り過ぎると会釈だけしていたが この間の出来事から

笑顔もつけて会釈した。



大人で優しくて…包容力があって……


課長と目が合うとうれしくて



つまらなかった社会人生活が少しだけ楽しくなった。



「最近さ……その名前よく出てくるよな。」



そんなこともあってテンションアップだった私はついつい

日々の出来事を喋りすぎていた。



「え?」



「課長~課長がね~~~」秋杜が声色をおんなにしていった。



「あはは~~」私は大爆笑してお腹を抱えた。



秋杜は立ちあがって

後から私を抱きしめた。



「な…何よ……。」



「俺のまえで他の男の話するな。」



秋杜の力が強くなって苦しくなる


「苦しいって……秋杜痛いよ……」



「春湖が悪いんだぞ……俺のまえでそいつのこと話す時

いつもうれしそうだから……」




秋杜の頬が 私の頬に触れて 倒れそうになった。




「秋杜ったら……ヤキモチやいてんだ……」

わざとに挑発したのは 頬が赤く燃えるように熱くなったから



「ヤキモチ……

春湖に対しては なんでもヤキモチやくよ。

今まで俺は…どれだけ嫉妬してきたんだろう……」



そうだった…幼稚園の時からラブラブだったゆうくんとの仲を

引き裂いたのも幼い秋杜だった。




「春湖以外にこんな気持ちになったことは一回もないし……

俺はいつも冷静でいられるのに……

なんで春湖の前だけ……かっこよくいられないんだろう……」




いつも強気な秋杜が意外な言葉を吐いた。



「おまえのまえでは世界で一番かっこいい男でいたいのに……

俺はいつまでも子供になってしまう……」




胸が…キュンキュンして痛いほどだった。



秋杜の言葉に 感動してる私だった。

可愛くて…愛おしいと思ってしまう……。



「俺に足りないのは おまえより生きてる時間が少ないこと……

おまえにとってはガキとしかうつらないこと……

こんなに…こんなに愛してんのに……」




  愛してんのに……



その言葉を言って秋杜はすごい勢いでリビングを出て行った。



その背中を見送りながら

私も鳴りやまない心臓の音を聞いていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ