045
昨日の夜 眠れなかった……。
秋杜のことをどんどん好きになってる自分がおさえきれなくて
男には理性がないって秋杜に 言い放ったけど
女にも理性のないやつに 私の名前もリストにあがった。
秋杜と二人分の弁当を作りながら
どうして自分はあんなことしちゃったんだろ……
自分でも思っていない行動に 落ちこんでしまった。
気合いの入った弁当を眺めて
箸箱をセットして色違いのバンダナで包んで時間を見る。
「まだ…起こさなくていいかな。」
シャワーを浴びて胸に少し冷たい水をかけた。
熱のある心臓を少し冷やしたくて…。
リビングに出ると寝ぼけまなこの秋杜が
ソファーにボーっとして座っていた。
ドキン
昨日のことは秋杜は何も知らないけど
私は後ろめたさで一杯だった。
「お…おはよ…自分で起きれるんだ?」
「昨日 寝ちゃったんだな俺……。」
「風邪ひかなかった?」
「それより…」立ちあがって私の前に進んできた。
もしかして…昨日のこと…知ってる?
頭に巻いたタオルを取って 「俺楽しみにしてたんだ~」
そう言うと私を食卓のイスに座らせた。
「え・・・?」
秋杜は私の髪の毛に顔を近づけて 「クンクン…」と鼻を鳴らした。
それからドライヤーを持ってきて私の髪の毛に温風をあてる。
「学校間に合うの?」
「うん~だから早く起きたんだ。」
ドライヤーの音が優しく聞こえて私は 目を閉じた。
昨日買ってきたスタイリング剤を半乾きの髪の毛になじませて
ブラシでセットを始めた。
「秋杜って…いつからこんなこと覚えたの?」
他の女で覚えたの?
「春湖の髪の毛ってずっと長いじゃん~
春ママがいつもこうやってやってたじゃん~それをみてて
俺が絶対にやりたいって思ってたんだ。」
「え・・・・?」
まだうちらが小さい頃
お風呂あがりには ママが器用だったから
丁寧に髪の毛を乾かしてくれて
朝は可愛く結んでくれた。
そう言えば たまに遊びに来ていた秋杜はいつも
横でその様子を真剣に見ていて
「秋杜 美容師になったらいいんじゃない~」とか
ママと由美ちゃんが言ってたのを思い出した。
「せっかく丁寧に乾かしてくれても朝はひっつめていくのよ。」
「そうなんだ~。」
「なんて言ったって デパートの顔ですから~~」
ドライしてくれた髪の毛を撫ぜて見た。
しっとりとしている……。
「このスタイリング剤は合格だな~~」
秋杜はそう言いながら私の頭に顔を近づけた。
「犬みたい~~」
私は恥ずかしくて 思わず笑いでごまかした。
「この匂いは全部俺のもんだから……」
そう言うと後から私を抱きしめる。
イヤ~~~ン~~
もう私は 失神寸前・・・・・・。
からだじゅうが熱く 脈打つのが自分でもわかるくらい
秋杜に触れられたところに電気が走る。
もう体が何個あっても…足りないくらいだよ…
秋杜の行動一つ一つが刺激的で 私を甘い魔法に追いこんで行く……。