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秋杜の隣の部屋が私の部屋になった。
窓から自分の家を見る。
今は違う人に家を貸しているけど まだ小さい子供が二人いるという
あの中庭で無邪気に遊んでい頃がなつかしい……。
私は急いで表をつくって
『家事分担表』を書きあげた。
朝が遅い秋杜だから 仕方がない…
弁当と朝ご飯は私
ゴミ捨ても大きいもの以外は私
休日の昼は その時で
平日の夜……月水金日は私
火木土は秋杜
掃除や家事一般洗濯などはその曜日で各自がする。
遅くなる時や夕食がつくれない時は
連絡し合って臨機応変にする。
その表をキッチンのコルクボードに貼った。
「秋杜!!ちょっと来て~~」私は下から秋杜を呼んだ。
秋杜はしばらくして降りてきた。
「何?」
「これ分担表 秋杜だって自分のことは自分でしてね。
私も残業とかわからないけどあまり遅かったりしたら
曜日変更し合って 協力し合って生活しようね。」
しばらく秋杜は表を見て 立っていた。
「わかった。」素直に返事をした。
「なんでこんなことになっちゃったんだろ~~
せっかく楽しい一人暮らしだったのに…ここに彼氏だって
連れてこれないじゃん……」
わざとに私はそう言って大げさに困った顔をした。
「彼氏なんかいないくせして~」秋杜が笑った。
「失礼しちゃうわね、これから作るんだから
結婚相手を!!」
「せいぜいがんばって~~」バカにしたような顔がムカつく
「秋杜もここに女つれこまないでよ!!
今までだってつれこんだことないんでしょ?
お互いにそういう節度は守ろうね。」
「は~~い~~
彼女何か連れてきたら 春湖にいじめられるから
連れて来ないよ~」
「いじめる?人聞きの悪いこといわないでよ。
あんたの女になんか興味ありませ~~ん。」
「あ~そ~」
「とりあえず明日は日曜日だから 私が家事担当だけどね
朝はゆっくり寝るから~~秋杜も起こさなくていいんでしょ?」
「いいよ~」
「ふえ~~~疲れたよ~~~ぉ……
来週からまた地獄が始まるから ゆっくり寝よう~~
いいね~学生さんは
つくづくうらやましいね~~~」
「おっさんか?」秋杜が口の端をあげて笑った。
「仕事始まったらね…めちゃめちゃおっさんだから~~
覚悟しておいてよ。
にしても…今度は家事があるんだよ~~
ありえない……帰ってきたら疲労MAXなのに~~」
「いいさ~生活費はお互い親が出してくれるんだし
春湖は給料貯めれるし
ま…ここに住んで働くことは副業だと思ってさ…よろしく頼むよ……
それからさ俺の朝は 覚悟しておいて。
絶対俺がシャワーに入るまで 確認してよ。」
「わがままだね……そんなことじゃさあんた…
社会に順応できないから 自分で起きる気を出さないと
いつまでも甘えないでね。私はあんたのママじゃないんだし
あんただってガキみたいなことしてたらマズイでしょ?」
「はいはい~~とにかく出来るようになるまで
朝はよろしくな。」
秋杜は窓辺にあるパソコンにスイッチを入れて座った。
私は浴室に行って バスタイム
面倒だけどお手入れもしなくちゃいけないし
ひさしぶりの広いお風呂は 疲れた私の体をつつんでくれた。
秋杜と一緒……
そう考えるだけでドキドキしている……
これから何が起きても
この胸が秋杜にときめいていることだけは…知られないようにしなきゃ……
二人だけの時間が始まった。