003
近所のママ友たちの ハートをわしづかみにした秋杜は
世間からも 王子 ともてはやされて
小さい王子ファンは大人から子供まで幅広く君臨し始める。
家族旅行でディズニーランドに行った時 渋谷を歩いていてスカウトされたり
その気になってついていったカメラテストでは
「秋杜く~~ん 笑って~~」 の注文に 一切耳をかさずに
眉間にしわを寄せて 渋い表情でカメラマンを困らせていた。
その間 渋谷を満喫していた私たちに電話がきて
「春湖~~ヘルプ~~」の電話に撮影場所まで連れて行かれ
「もう大丈夫です~~。春湖よろしくね~~。」由美ちゃん
「秋杜~~ニコッ~~」私が仕方なく優しい声で秋杜に声をかけると
もうニッコリ~~ととろけそうな笑顔を見せて
慌てたカメラマンが転びかけながら一瞬の笑顔を撮り続けて
幼児雑誌の表紙を飾った逸話を持っている。
大きくなってもこれは~~と何件かのプロダクションから
連絡をもらったものの
一筋縄ではいかないプライドの高さで
もう少し大人になってから・・・・と由美ちゃんが断っていた。
家族以外の前では笑顔を見せず
特に私には格別な笑いなのは 誰が見ても一目瞭然だった。
秋杜が幼稚園に行くことになって少しホッとしていた。
きっと気の合う友達ができて やっと私の子もりから解放されると
嬉しくてウキウキしていた。
今だって家に友達が来てたら 勝手に部屋に入って来て・・・・
みんなと話で盛り上がってると
「はっこ~はっこ~~オイ~聞けって~~」といっちょまえに男言葉で
話に割り込んできて・・・・
あずましくないったらないし!!
「なんか春ちゃんの彼氏みたいだね~」とバカにされる。
「やめてよ~こんなガキなんて~私には ゆうくん がいるんだもん~」
「ずるい~ずるい~~春ちゃんにはもう彼氏がいるんだもんね~」
なんて盛り上がってると ポニーテールの髪の毛を秋杜が グッと引っ張った。
「もう~~イタイ~~」
秋杜は本当に 彼氏のような顔をして私を睨みつける。
「あ~~王子めっちゃキュンとしちゃうわ~~」
私の友達たちまで巻き込んで 俺様王子は力を広げていく。
家で遊ぶのをやめて 私がチャリに乗って出かけようとするのを
見かけたなら 三歳にして補助無チャリを乗り回し追い掛けてくる。
子供だからいいけど これがいい年になったらストーカーじゃん!!
私は秋杜に追いかけまわされる 毎日の連続であった。