038
パパが転勤~~~!!
今まで転勤とは縁遠かったんだけどとうとう…来ちゃったって感じ……。
「最後の転勤になるんだ。ここで行くのと行かないでは
先の昇進が違うらしい……。
単身赴任で…とも思ったんだけど…春湖も一人暮らしで
落ち着いたし…ママ連れて行っていいだろうか…?」
「ええ~~~~!?ママ連れて行っちゃうの?」
「だってさ…パパ一人で生きていけないよ・・・・。
春湖だって一人でやってんだしママいなくてもいいだろ?」
パパは必死だった。
「なんかあったら尚と由美もいるし……
大丈夫だろう?」
「うん・・・・。まぁ・・・・ね・・・。」
「いいってさ~ママじゃあついてきてよ。」
パパはニッコリ微笑んでまるで子供のようだった。
「ね~ママ~男ってガキだよね~」私はパパに負けたようでちょっとムカついた。
ママはニッコリ笑って
「ホントよね~パパはママがいないと生きていけないって言うから
一緒について行くわ。悪いけど春湖 頼むね。」
そう言いながらママは幸せそうだった。
これが夫婦っていうもんか~悪くないけどね~
「はいはい~~一人で春湖は大丈夫です~~」
ニコニコ顔の二人を前に…なんとも複雑な気持ちになった。
それから二人はさっさと家を貸して…とっとと赴任先に引っ越していった。
まるで新婚さんのようにとても
幸せそうに 何度も手を振って搭乗口に消えていった。
「なんだか…すごい複雑な気分……。
今まで 春湖 春湖 って言ってたのに すっかり
二人の世界なんだもん……。捨てられた感じ~~」
一緒に送ってきてくれた 尚ちゃんと由美ちゃんにそうぼやいた。
「いいじゃないか~それだけ夫婦円満なんだって~
そして春湖がしっかり成長してくれてるから 安心して行けたんだからさ。
おまえはとっても親孝行な娘だって言ってたよ~」
尚ちゃんが笑った。
「そう…。じゃ…そういうことにしておこう~」
「うちらがいるんだから~なんかあったらすぐ連絡しなさいよ。
私たちは春湖のもう一人の親なんだから。」
由美ちゃんが私の手をとった。
「よろしくね~~もう一人のパパとママ~~」
私は両手に 尚ちゃんと由美ちゃんの腕を取って歩いた。
だけど…そんな頼みの二人にも…とんでもない転機が訪れた。
「うそでしょ~~~~!?ちょっと勘弁してよ~~~!!!」
私はあまりの事態にそう叫んだ。