037
新入社員としての忙しい毎日が過ぎて行った。
いろいろな研修を受けて 毎日クタクタになっていた。
慣れない高いパンプスで足はむくみ
一人暮らしの部屋は ただ寝るだけ
どんどん汚くなった部屋は 休日も片付ける元気もなくて
足の踏み場もないほどになっていた。
今までは ひどくなってきたらママが掃除してくれたし……
寮では暇な時間もあったからそれなりに片づけをする元気もあったけど
今は体の芯から疲れ果てて へとへとだった。
そんな毎日を送っていたら 上司にしかられた。
「ちゃんとお肌のお手入れしてる?
お客様の前に出るお仕事でしょう?そんな吹き出物作って
仕事を何だと思っているの?」
でかい吹き出物ができていた……。
確かに……最近は顔を洗わず寝て…クレンジングも洗顔も
お手入れなんてちっともしてなかった。
急に恥ずかしくなった。
「すみません…今日から気をつけます。」
大きな声でそう言ったら さっきまで厳しかった上司が
ニッコリ笑った。
「お客様のための笑顔だけど それは自分の魅力にも
かえってくるものだから頑張ってくださいね。」
「はい。」
年は少しとっているけれど よく見るととてもキレイな肌をしてる。
お辞儀の仕方や 歩き方 案内する時の手の角度
上司の身のこなしはとてもきれいだった。
「受付嬢はデパートの顔です。
お客様に最高の笑顔で応対しましょう。」
社会人って…厳しいんだな~~
「学生の時はよかったよ~~~。厳しいもん……」
かえったらすぐに部屋を片付けた。
「ママ…来てくれないかな…これはひどいわ……」
自分のだらしなさを呪った。
「こんなになるまでやんないんだから……」
自分に腹が立った。
「ママに助けてもらおう~~」
私は携帯電話を持って ちょっとだけ見えてきた床に転がった。
「もしも~~し~ママ?」
「春湖?」
「ね~助けて部屋めっちゃ汚いのよ……。」
「ちょうどよかったわ……。実はね……パパが転勤……になっちゃって……。」
「え・・・・?マジ?うっそ~~~ぉ~~!!」
パパが転勤?????波乱な予感~………。